176.【俺】おハゲな集団と出くわす
いつぞやのローリング移動で向かおうと思ったが馬車があるということで折角なので借りた。従魔として連れているのはバワンと大福だ。馬車を引く猪みたいな動物の上に乗って喧嘩している。
戦闘ではいいコンビネーション見せると言うのにこれである。相性設定とかあるんだろうか。ゲームとはいえジロジロされるのもあれなのでサブサブロには浅黄色のローブを目深に被らせた。魔導士ルックなのに背負ってるのが大斧というカオスぶりだけどまあいいだろう。
「そういえば森騎団の連中出てこなかったな」
仲間どころか油断ならぬ敵だけど、リーダーであるレグナードを筆頭に彼らもまた憎めない奴らである。Tポの騎士は再生数凄い回ってるからまた出てきて欲しい。
自宅警備兵 :アイツら俺らの迷宮壊しかけた奴だろ。別にいいだろ
小蕎 :結局、決着つけず仕舞いですけど離れて大丈夫なんですか?
「一応、修正掛けてできるだけ弄ったし、ピンチの時も自動ジャンプするみたいだから問題なし。そもそも強化するにしても魔物が必要って話で王都方面開拓した方がいいんだよな」
そう、構造の方はもう弄りようがないので後は駒を揃えるだけだ。全部回ったわけじゃないのでペルシア周辺も探せば強いのいるんだろうが、さっさと次のマップに行った方が効率的だろう。
そうこうしているうちに御者となったサブサブロが門に辿り着き、アランとポールの他に人影が見えた。ペルシアの星、ユーリーとキャスカ。英雄らしく、この二人も重要NPCだろう。
ユーリー :おっ……さん?なのか
キャスカ :嘘……
ん?ああ、そっか鎧外したんだった。ホント細やかだ。
ヤヒヤヒ :全モブで反応変えてくるのすげえな
「な、一昔前のゲームの方が何でかこういう所丁寧だよな」
門番アラン :はは、恰好変えろと言ったが見違え過ぎだろ
門番ポール :僕らも包帯巻きしてた姿を見てなかったらひっくり返っていたところですよ
キャスカ :ぜっ是非いつか私達とPT組んでください
うわ、イケメン有罪だ。キャスカちゃんの頬が染まってる。ユーリー君に申し訳ないと思ったらスッと間に入ってきた。
ユーリー :おっさ……いや、サブサブロ。王都に行くんだってな。勝ち逃げは許さねえ。ランク上げて強くなって絶対に再戦しにいくから死ぬんじゃねえぞ
魔王サブサ風呂:フッ 誰ガ誰ノ 心配ヲ シテオルノダ 再戦ノ日 愉シミニ シテオコウ
変わった。初期に比べて何故かサブサブロも人っぽくなったなって俺は思う。数値とかないけど、精神的にも成長要素がきっとあるはずだ。まあ確かめようがないけど。
パチンと叩いてモーという鳴き声と共に馬車が進む。遅っ!ってかお前ら牛なの!?何か締まらないけどペルシア街を出たのである。
◇◇◇
軽快なフィールド曲と共にゆっくりながら馬車が広大な平原を駆け抜ける。一面に広がる大自然。ゲーマーとして心躍る光景なのだが──
ゆうゆう :ほら、ココアイ今から君をドライブに連れていってあげるよ
ココアイ :素敵っ!ゆうゆう、画面を見てればいいのね
コメ欄にこれをドライブデート代わりにするアホが湧いて萎えそう。ってか峰岸さんはそれでいいのか?お前心広すぎるだろ。ゆうゆうに関しては振られてしまえ。
お外に出られて嬉しいのかバワンは空を飛び回り、大福はサブサブロの膝に乗ってる。ゲームだから太ったりしないだろうけどこの白玉大きくなってる気がする。
うずまき姫 :綺麗ですの。やはり欲しいですのデュアルミッシュ。松江
松江 :はっ!サブイチ様、四千万『このコメントは動画主によって削除されました』
危なっこの人ら。ホント油断も隙もあったもんじゃない。ヤバ目のワード後で根こそぎNGにぶち込んでおこう。
適当に誤魔化しつつマップを開く。といっても舗装された道を進めば王都とやらに到着するようなのでホント確認程度。一応魔物も出没するらしいがそこまでのものは奥に行かないとそう出ないらしい。まぁそりゃそうだ。
冒険したいところだが馬車が借りもの。盗まれることもあるらしく、賠償しないといけないらしい。ゲームとはいえしっかりしているのだ。
ちなペルシア側と王都側で馬車貸し業を営んでいて、魔法で通信できるエルダインならではの仕事という説明があってちょっと面白いと思った。
小蕎 :あっサブイチさん
ヤヒヤヒ :何か来たぞ
「ん?」
あっ本当だ。ハゲ率の高い集団が対面から現れ、掲げられたどっかで見たマークに俺は嫌な予感を覚えたのだった。




