168.【俺】コミュ限し大きな戦いに備える
「デュアミーデュアミー」
やっと自宅へ帰宅。着替えたりと身支度を終えて待ちに待ったデュアミの電源を入れる。これが俺の活動源。が、今日は一人プレイじゃない。あっ奈々でもない。実は別れ際あの三人と約束したのである。一緒に意見寄せ合いながら作ろうと。
作った配信サブアカウントをコミュ限にしてそのパスワードを二人に送る。来場者3となったのを確認して俺はチャットアプリを起動させた。高瀬さんの声が鳴る。
「こんにちはー」
「こんちは高瀬さん、よろしくな」
「うん、お邪魔するね最上君」
うむ、緊張する。ってか猿は早く入ってこいよと見ればチャット欄に書き込みが。
ヤヒヤヒ :悪い、声出せねえから音声通話使えねえ。俺はこっち参加で
サブイチ㋹ :おk
どういう状況だよ。まあ、疑似的に高瀬さんと二人きりなのでいいけども。ちなみに㋹は配信者本人マークだ。
さて、こういう感じでやるの初めてだからちょっとワクワクする。サブサブロがスパ迷宮に降り立った。
「じゃあ、早速スパ迷宮秒で攻略されちゃった問題なんだが」
「要するに難易度が低すぎたってことだよね」
高瀬さんの言葉に頷き、俺はコメントに目を向ける。
ヤヒヤヒ :今回は階層主設置しなかったのが問題だろ?
「まあそうなんだが、仮に6傑出しててもレグナードとボッシュを止めるのは絶対無理だったって感じだな。今回はネタみたいな戦いになったけどアイツらの実力は本物。明らか探りを入れてたし本気じゃなかったはずだ。正直、ボス級を止めるのはほぼ無理だな」
ヤヒヤヒ :それだと階層主設置するのも拘る意味ないって話になんね?
「高位冒険者の滞在時間でボーナスが入る仕組みって分かったんだ。それを使って必殺が撃てるから時間掛けさせた方が基本的有利になる」
「じゃあ、迷路にしちゃうとかってどうかな」
「迷宮好感度ってのがある。それが高くないと挑戦する冒険者が減ってメイズポイントが稼げない。難度が高すぎると高位冒険者ばかりになったり、詰みがあったり旨味が無い迷宮になると挑戦する奴がいなくなる」
ヤヒヤヒ :そういう所、無駄にリアルだよなこのゲーム
「迷宮運営をゲームに落とし込むとなるとそうならざるを得ないんだと思う。ポン置きで解決できちまうと作り込む意味も無くなるし実際つまんねえだろうし」
ヤヒヤヒ :バランスが大事ってことか
「何だか色々あって難しそう」
「基本、このデュアルミッシュの難度は高え。俺のゲーマーとしての感覚だけどここまでがチュートリアルで王都から来る調査団のイベが終わったらいよいよ本格化。そこからはガチでやらねえとかなり厳しい戦いになると思う。キコリクマーみたいなおふざけは間違いなく通じないはずだ」
ヤヒヤヒ :イチ的に何かねえのか?
「一応、感圧板を使おうって思ってる。キコリンEXがマルタノダンジョンで使ってたあのサブロをラザニアに飛ばしたやつな。条件付けした対象をルートに送れるからこいつで上位冒険者と下位冒険者で入り口からルートを分けちまおうってな」
これはもう見た時から使おうと思っていた。デイジーの計画書に目を通しながら俺は続ける。しっかり過去動画見てくれていたらしい。意外にちゃんとしたもので驚いた。
「キコリンEXは対迷宮主用に使用してたけどプレイヤーNPCが出てきてもまだ乗り込んではこないだろうって割り切ってまずは対冒険者として全力で作る。兎に角ポイント稼げる箱にして完成目指すのはそっからだな。高瀬さんや弥彦には極力攻略に時間が掛かる内装制作を手つだって欲しい。勿論、リスナーにもまた募集するけど」
ヤヒヤヒ :おk
「了解、頑張るね。階層主の方は決めてるの?」
ヤヒヤヒ :6傑は使わねえって話だったよな
「いや、やっぱり使うことにした。今回であいつらも信者化してミハエルみたいに見た目変更が追加されたんだ。色だけ変えてドッペルで配置しようと思う。それで誤魔化せるか知らんけどそもそも警戒し過ぎでそこまでする必要性があるのか分からねえしな。ただ基本連れ回す予定のバワンと大福はなし。だから4体と不死鳥バッツくらい。駒が足りなすぎるから王都にいって調べられる前に王都周辺の魔物を捕獲するって計画だな」
ヤヒヤヒ :流石イチ。行き当たりばったり感半端ねえな
うむ、でも多分性格。ゲームだけじゃなく俺の人生もそんな感じだし。
「ただ漸く魔物も育ってきてくれたんだ。ライダー用のグレーターウルフはちょっと迷宮じゃ使えねえけどゴブリンは何体かジェネラルに進化した個体がでてきてくれてさ。あっそうだ。折角だしゴブリンフライデー復活させるか。進化個体こいつの家族だったし」
ヤヒヤヒ :お前空軍作るとかもいってなかったか?
「ん?ああ、そうだな。しのごの言ってる場合じゃなさそうだしバッツに探索いって貰うか」
無駄遣いできないけど死んだら復活させられるメイズポイントはこのレグナード戦で入ったことだし。後悔しないように全力で動こうと思う。
「最上君迷宮カタログ見せて欲しいかも」
「おk」
ヤヒヤヒ :よし!今度こそ俺達で最強の迷宮を作ろうぜ
モチの論。さあ、掛かってこいペルシアの冒険者ども。サブイチチャンネルのリスナーと九十九高校の頭脳がお前達を阻むだろう。ただ、準備があるのでもうちょっとだけ待ってくれよな。
≪ゴブリンフライデーが蘇生しました≫
≪不死鳥バッツが飛び立ちました≫
予感。王都に行く予定だがこのペルシアの地で大きな戦いが起る予感を俺は感じていた。




