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148.【俺】浮ついたテンションと共にキャラエディット

「お母さま、骨折してますが玄関掃除終わりました。そして更に宿題も完了しました……俺生まれ変わったら絶対母さんに親孝行するんだ」


「今世でせえ!ってかアンタ絶対ええことあったやろ」


「母さん、俺をこの顔に産んでくれて……感謝だ」


「アカン、うちの息子の子がアホの子に」


「お母さん、イチ兄は生まれた時からこうだよ」


 横からサブ子。お前は生まれてないだろ。


「せやったわ」


 ふっ幾らでも罵るがいい。この心、舞い上がりし俺に暴言など無効。何せ美少女から最上君お弁当作ってあげようかという神イベ。この世ギャルゲかよって錯覚するほどの奇跡が俺の身に起こったのだから。


 そりゃ松葉杖だろうとホップステップジャンプで駆けあがるというもの。


「アンタほんま足折った時くらい大人しくしい。もっと怪我しても知らんで、その様子やと忘れてるみたいやけどアンタのその治療費小遣いからやからな」


「え?」


 有頂天だった俺は急転直下意気消沈した。有栖川へのカフェ代返却、高瀬のお弁当代という出費に加えて治療費。最上一郎氏、財政破綻です。


 自室。やっと解放されると杖をポイして床にゴロン。怪我を負ったが兎に角これでお嬢様関連をクリアして肩の荷が下りた。白百合との関係も切れそう。現実では神イベもあったけど俺はやっぱこれとコントローラーを持った。やっとデュアルミッシュに集中できるのだ。


 明日から小遣いゼロの無一文生活。でも、何てことはない。現実逃避できるこれがあれば無問題なのだといつもの如くパチッとデュアミの電源を俺は入れた。


「うしっやるか」


 今日はずっと言ってた迷宮制作を行う。正直、ワクワクしていた。ダンジョン作りはゲーマーの夢。まあ、大体創作物だと設定崩壊して早急にダンジョンなんて無かった的な事になりがちだけど……。うん、みんな好きなはず。とりあえず今日は構図だけ作る予定だ。


 弄ってみるだけのつもりなので配信もなし。まあまだ運営できる魔物いないのでしゃあない。


「馬鹿をやるなら今でしょー♪ふっふっふーん♪ふっふっふっふーん♪」

 

 俺が好きな古き曲の鼻歌を歌いながらメニューを開くとNEWの文字におっとなった。


「おっ何だこれ。キャラエディット解放?」


 いや、意味は分かるが何故このタイミングと首を捻る。サブロはこのままでいいんだが一応見るだけ見るかと選択。するとシステムさんの説明が入った。


≪好感度MAXとなった町人〈大信者〉が生まれたため新たな力キャラエディットが解放されました。キャラエディットは貴方のお好みで町人の容姿を変更できる機能です。使用したい場合は、対象となる住人の近くでメニューを開いてください≫



「へー」


 面白そうだけど、使わないかなーって俺は思った。女の子は十分可愛いし、男の容姿は興味ないし。まあ、配信でネタに使ってみるのはありかも知れないが。世界に入りこんでるからこそ何かそれもちょっとなって思ってしまう俺である。


「ってか好感度MAXってもしかしてチョロ」


≪ミハエルです≫


「お前かよ」


 確かに元から高かったけど、あれが大信者になったところでそんなに嬉しくはない。ミハエルとかどうでも……いや、一回使ってみるか。ミハエルに髪を与えよう。


「いいことあったんだ。ゲームキャラとはいえ幸せのおすそ分けしないとな」


 まさか最初に好感度MAXになるのがミハエルになるとは……まあいいけど。ミハエルミハエルと俺は彼を探した。そういえば久しぶりか。ガン無視してたが何やってんだろうか。


ミハエル   :……しかし……ですが……


「いた。ハゲ神父」


 何か電話してね?え?電話とかあるのこの世界。それって不味くね?いや、まあいいか。ミハエルだし。キャラエディットを開くとアホほどパーツが出てきた。


 所謂T立ちしたミハエルが中心に現れ、選択することでグラ反映される仕組み。これもプレビューがあって決定して実際に変わるようだ。


「ぶふっ」


 開幕、ミハエルがリーゼントになって吹いた。


「いや流石に可哀想だな」


 今日の俺は機嫌がいい。長髪のいい感じの奴に……


「こいつ髪あったらイケメンだな」


 ミハエルの癖にとちょっと嫉妬するが、こんなのに時間もかけてもなんだし反映っと


ミハエル   :サブサブロ様?手を翳されて何を?

魔王サブサ風呂:触ッテミロ 褒美ダ


 何もやってないけどなこいつ。キョトンとしていたミハエルは頭を触り、サッと鏡を取り出し震え出した。何でこのゲーム制作者ってこんなのにまでしっかりイベント付けてるんだろう。


ミハエル   :髪があああああ!!!かっ髪があああ

???    :え……どうしたのです。急に取り乱し……神!?まさか神……降臨……


ミハエル   :髪がああああああ


 すっげえ喜んでる。通信機から薄っすら声聞こえるけど、何か盛大なる勘違い生み出してる気がするのは気のせいか。ダンっと飛び出したミハエルは枕を持って戻ってきた。そしてゴリゴリと頭を擦り付け


ミハエル   :寝具に抜け毛があああああるうううう。さずかってりゅううう


「いや確かめ方!?」


 別に元の髪形でも抜け毛はあるだろうに。普通の頭じゃなかったとかそんなオチはないだろうし。


???    :え?神具!?神具と言いまし……!それをさずかっ


 何か壮大なる勘違いを巻き起こしてしまった気がするのは気のせいか。それにしてもこいつ外部と連絡とってるっぽい。スパイじゃねえか。でも、まあいいやミハエルだし。


「元気そうだし放置でいいな。ダンジョン制作やろダンジョン制作」


 いよいよ俺はダンジョンを作る。配置する魔物いないからプレビューだけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 好感度MAXってことは教団をまとめて住民化かな?
[一言] かみがぁぁぁぁぁ 確かに、間違えるな(・・)(。。)うんうん
[気になる点] 通信相手は教団のお仲間だね。 好感度maxになったから勝手に引き込みにかかっていると。 つまり情報漏洩だけどスパイではない、のかな?
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