130.【俺】ラザニアから情報を得る
スパーダへ帰還した俺。配信しようかと思ったがちょっとだけなので無しにした。まあ重要そうなら動画に纏めよう。
このラザニアって子は基本動画に出さない方向でいこうと思う。ってのも海外はこの手のことに厳しいからだ。こうなった経緯を説明できないし、俺が無理やり剃ったみたいにされてもやだし。
勝手に坊主になってましたとかマジで誰が信じるのか。
後、サキュバス化して服が変わるとBAN回避のために見せれん君起動しないといけないなど編集が面倒ってのもある。登場せずとも分かるように繋げる。うん、決定。一部の視聴者も悪ノリしそうだしね。
それにしてもラザニアを警戒しているのかバワンと大福がワーワー五月蠅く喚いてる。
「あーうるさ。魔物同士の相性とかもあんのかなこれ」
更に騒がしくなるかもだがそれでももっと魔物を集めたい。かなり整ってきたスパーダだが魔物も人も住人が少なくてやっぱ寂しいのだ。迷宮づくりの予定もあるし、依頼を漁って魔物の回収を狙おうと計画中。
「ペルシアにもいかねえとだなっと。ラザニアの部屋はとりまこんな感じかな」
叛逆値が高い彼女は捕虜スペース。ただちょっと可哀そうなので部屋はかなり整えてあげようと思う。捕虜でも牢屋だけじゃなく家も選べたので特別いいのにしてやる。え?人と待遇が違う?
あいつらは攻撃してきたし、反省して従順になったら勿論待遇は改善する。ただ格子ついてるけどわりといい暮らしだと思う。自動餌やりもしてるし。何出てるか知らんけど。
魔王サブサ風呂:ココガ 貴様ノ 住処ダ
ラザニア :ここを私に?
何か感動してる?いや、まあ最下層に放置っぽかったしリアルだったら喜ぶのも無理はないのか。
そう考えると階層主ってきつすぎる仕事かも。配下にはかなり愛着湧いてるし、俺はポイント消費してもミミックメイカーの分身体で行きたいと思う。
魔王サブサ風呂:特別デハナイ 皆同じ生活ダ ソレガ スパーダ ノ モットーデアル
何か勝手に座右の銘が決まっちゃってるがそれは俺もそう思うのでツッコまない。
ラザニア :人だけでなく、あの鳥やウサギにも住処を……
この子どんな扱い受けてたのか。マジでずっと階層主やってた感じ?いや、NPCなんだからそう描かれてるだけの話なんだけど。反応のせいでリアルに感じてしまう俺である。
魔王サブサ風呂:中ヘ入レ 話ヲ聞コウ
おっ!やっと物語が進みそうだと俺は録画を押した。
普通のこじんまりとしたファンタジーちっくな部屋。ラザニアは魔物とはいえ人型だったので人間カタログから選んだが気に入って貰えただろうか。住ませる場所で好感度あがったりすんのかな。
物珍しいのかキョロキョロしてる。坊主だけど可愛いなコイツ。
魔王サブサ風呂:話ヲ
ラザニア :え?ああそうだったわね。話っていうのは私のマスターだった男『キコリンEX』のことでいいのかしら
魔王サブサ風呂:ソウダ
ラザニア :といっても私はテイムされてすぐ階層主に任命され幽閉されていたから余り詳しくは語れないわ。それを前提にして聞いてほしいわね
サブサブロがコクリと頷く。俺もつい頷く。
ラザニア :『キコリンEX』は突如として現れた冒険者。人型の女に目がなく、片っ端から捕まえて侍らせていたわ。もう本人が見えなくなるくらいに
頭なろうかよ。羨ま……じゃなかった。全くけしからん。
ラザニア :私も捕まった。ダンジョンマスターの力を舐めていたのよ。魔物をテイムする人間の存在は知っていたけどまさか魔族までできるだなんてね。強かった私は迷宮の階層主に選ばれた。マスターは知略にも長けペルシアを経済的に掌握。順風満帆だった。けどマスターには敵がいたのよ
サブサ風呂 :テキ?
ラザニア :詳しくは分からないわ。私は階層主に指定されて彼に付き添っていたわけじゃないから戦わなかったし、ただずっと彼は何かを恐れていた。彼がハーレムとはいえ仲間を集め、異常なほど防御を固めていたのはその敵に対するためだったって後に気づいたわ。それは同業者のダンジョンマスターだと思っていたんだけど、貴方を見る限りそんなに単純な話ではないようね
「ふむ」
成程、わからん。
ラザニア :そして数年前、私はマルタノダンジョンと共に突然放棄された。色々残していったから慌ててたってのは分かるけど彼にとってすれば駒の一つに過ぎなかった。全く薄情なものよ
魔王サブサ風呂:ソノ者ハ ドコヘ行ッタ?
ラザニア :さあ?死んでいないのは確かだけれど大変な労力を掛けた土地を捨てたんですもの。遠くへ行ったんじゃないかしら
敵ってもしかしてリーデシア?ぐぬぬじれったい。チャットして直接聞きたい。決まったシナリオだから無理だろうけど。
「ハーレム築いてた男か。町で調べたら出てくっかな」
リーデシア帝国やドラムニュート王国へはまだ進出する感じはゼロ。多分、スパ迷宮を稼働させないと次のマップにいけないと思われる。
ラザニア :ねえ、お話はそろそろいいでしょサブサブロ様。ほら、私サキュバスなのにあんなところに閉じこめられていたじゃない?だから随分ご無沙汰なの
そう言ってゴロンするラザニア。俺はスッとティッシュを手元に引いた。流石洋ゲーだ。やってくれるじゃあないか。
魔王サブサ風呂:ソノヨウナモノハ 不要ダ
ラザニア :っち
「っち」
魔王サブサ風呂:今ハ 体ヲ 休メロ ヨイナ
頭までイケメンかよサブサブロ。ヤバいマジでゲームキャラから俺は学ばないとかも。いや、待て落ち着け俺。現実じゃ絶対言わない台詞だろ。むしろ俺が言ったら笑われる気が。やっぱ顔では。
ラザニア :やっぱり不能……
え?去り際に小さくだけど不能っていった?童貞の幻聴?まあ、言ったとしてもサブサブロへだよな?




