129.【俺】サキュバスが坊主になってた件
「嘘だろ……」
母の説教を乗り越え。飯を食い終わり、俺は画面を前にして固まっていた。初めてしっかりセーブせずに落ちた。その影響なのかもしれないがサキュバスだったはずの女性が坊主になっていた。
自分でも何を言ってるのか分からない。別空間にでも飛ばされたというのか。しかし、見覚えのある迷宮であり何より上に出ている名前が『ラザニア』になっている。ちゃんとした衣服も着たらしい。
どうして布を得て彼女は髪を取り去ってしまったのか。
「バグか」
そうとしか考えられない。きっとスキンが反映されていないのだろう。流石に個人製作疑惑があるゲーム、捕虜の会話も怪しかったし遂に牙を剥き始めたか。無論、進行不能バグなどに当たらない限り続ける気はあるけども。
ラザニア :どうやら戻ってきたようね。思ったよりやるじゃない。強い男は好きよ。貴方の仲間になってあげるわ
あっラザニアが坊主のままイベントが始まってしまった。一度落とそうとも考えたが何だか直る気がしないのでもうそのまま行くことにした。
魔王サブサ風呂:仲間 ダト
ラザニア :そうよ、仲間。私は魔族で戦力面でも役に立つと思うし、それに貴方ってあまりダンジョンマスターには詳しくないのでしょう?仲間にしてくれたら色々と教えてあげるわよ。勿論、女のことも
髪があった時に誘惑して欲しかったが、最下層の守護者である彼女から情報を得られるというのはでかい。
≪ラザニアを仲間にしますか? YESかNOか半分か≫
出たこの選択肢。この場合の半分ってどうなるのか。当然YESを選択。
魔王サブサ風呂:ヨカロウ 我ノ 軍門二 クダレ ラザニアヨ
ラザニア :ふふっサブサブロっていうのね。よろしく私の新しいご主人様
≪坊主サキュバス、ラザニアが仲間になりました≫
ナチュラルにバグ適用して坊主サキュバス言うな。え?まさかバグじゃないのこれ。だったら絶望なんですけど。どういう経緯で頭丸めたの。そこ描いてくれよ。
音楽と共にステータスが表示される。情報量が凄い。中でも目に入ったのはテイム者キコリンEXの部分。
「名前ダサ」
ラストピリオドといいこいつのネーミングセンスよ。ただ分かりやすい、間違いなく木こりから取ってるし切り株ダンジョンやマルタノダンジョンを作ったのはコイツだろう。
「え?これまさかマジで他のプレイヤーじゃねえよな?」
いや、流石にない。ネトゲなのだとしたら過疎ってレベルじゃないし、通常販売されていないゲームでサーバーが残されていることもないだろう。うん、違う。やっぱあり得ない。
「名前もモブっぽいしな」
製作者がプレイヤーを描いたもの。ってことは全ダンマスがプレイヤー設定かも知れない。NPCのプレイヤーキャラとかガンガン出てくるかも。それともそれがラスボスみたいな感じになるんだろうか。
オープンワールドと思いきやストーリーがRPG並みにしっかりとある気配。下らないバグに目を瞑ればホントよくできたゲームである。
「っつかラザニアが仲間になったってことはプレイヤーNPCから魔物パクれるってことだよな」
逆に言えば俺も盗られるんじゃないか?そう思った瞬間、システムさんが荒れ狂いだした。
≪マルタノダンジョンを踏破しました≫
≪貴方はメイン迷宮の踏破に初めて成功≫
≪称号 え?お前のダンジョン弱すぎをGET≫
≪踏破:コアの魔力獲得。サブサブロのダンジョンマスターはLV3に上昇。〔迷宮オブジェクト解放〕≫
≪マスターコアの使用でマルタノダンジョンを支配することが可能。支配しますか?≫
うーん、ちょっと考えたがここを掌握するのはやめておいた。何ていうか自分の迷宮をまず最初に作り上げたいのだ。後、拠点跳びができるのでできれば街を跨ぎたいって気持ちがある。
「えっとラザニアを六傑入りさせて……は?なんだよこの叛逆値」
ラザニアの数値が私裏切りますと言っていた。うん、服脱いで歩くBPO化するかもだし従順になるまで彼女も捕虜としておこうか。個人的に6傑は見た目人外で揃えたかったし。タスクでラザニアを迷宮にってあるので彼女が齎してくれる情報に期待と俺はサブロをスパーダに転移させたのだった。
≪みきみき 一郎がNPCと誤解してプレイヤーをなぎ倒すフラグがON≫
≪つんつんぱ 聞こえてきたよ デュアルミッシュの足音が≫
≪世界をきっと 半分こ ううん、もっともっとグチャグチャに≫




