120.【俺】新装備を作成し思い出す
が、速攻でレベリングに向かうのは素人。強化とはレベルだけに非ず。章終わりには装備を整えるのがベスト。え?そんなの当たり前だって?ごめん。でも、結構そこ疎かにしてゲームの難易度高いって言う人わりといるぞ。
基本を大事にだ。さてデュアルミッシュの装備システムには壊れるという特徴がある。といっても職人大好きな俺からすると予備を作ればいいだけの話でそれほどデメリットには感じない。まあ、金だけはヤバいけど。ゲームだと金遣いが荒い俺である。
「んー駄目だな。作り直しか」
ケルベックとの戦闘で俺が作り上げた鎧がぶっ壊れた。一応装備可能だが、防御力が著しく低下している。もう基本ボス戦は鎧も壊れるという前提でいた方がいいかも。兎に角、新防具製作決定だ。
そして武器、今回の戦で得た装備品は冒険者サインの魔剣、魔銃バトロス二丁(リーデシア製)パティの長弓の三つ。あのケルベックが最後に使用した小銃は本当に切り札であったようで壊れたらしい。
さてサブサブロは斧にスキルを振り切っているので残念ながらほぼ適性がない。剣だけはちょっとだけポイントを振っていてサインが所持していた魔剣なら多少使えそうだが宝の持ち腐れ。これも魔物に持たせた方が良さそうだ。ってか不落の連中は何でこんな高そうな武器持ってんだ?
「『不落』悪いことやってそうだったし、儲かってた的な?」
ちょっと気になるがまあいいや。しかし、明らかに強武器であるケルベックの所持品、魔銃バトロスを余してしまうのはもったいない。バンバン撃ちたい気持ちもあるが、斧キャラと決めた以上サブサブロでの運用は諦める。
となれば6傑で使える者がいるとすれば……
「やっぱゴブウェイか」
アーチャーである彼しかいない。そう思って装備画面から無理やり持たせようとするとチュートリアルが開いた。
「お」
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≪魔物のジョブ目覚め≫適性がある上位武器を所持させておくと時間は掛かりますが解放されることがあります。名前表記が緑になっているものを持たせておきましょう
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成程と所持させてみるを押すとサブサブロが寝ているゴブウェイにポイっと投げる。すると薄目を開けたゴブウェイが二丁拳銃のバトロスを重ねて枕の下に敷いた。
いや、扱い雑っ……。こいつ高さ調節に使いやがった。本当にこんなんで目覚めてくれるのか。上手く行ってる気がしないが時間は有限ってことで早速自分用装備作りに入る。
鍛冶場はペルシアの町にいかなくともスパーダ人間区画に存在する。俺が作ったわけじゃなくて元々あった。明かに住人用、最初から鍛冶師を連れてくる設計になってるんだろう。まあ鍛冶場以外にも専門店があるのでそういうのを引っ張ってくると文明レベルが一気に活性化するのかも。
俺が知ってる鍛冶師はペルシアの町にいるガストロのオッサンだが、肩書凄くて重役っぽいし流石に攫ってくるのは気が引ける。自分で作れるし暫くはいいだろう。
「えっと新装備っと……解放はもうちょいか。旧装備で経験値稼ぐか」
レナ :貴方って鍛冶もできるんだったわね
パイネ :じぃいいいい
イミール :なんでもできるのだな
エリー :凄いです
ライザ :サブサブロさんってできないことなさそう
トテカンしてると音を聞きつけたか白銀連盟の連中と学生がきた。俺が言うのも何だが暇そう。そしてこの生活に馴染んでしまったようでたこ焼きを手に持っていた。順調に地球人化してきてる。ふっ君たち元の生活に戻れるかね?貢ぎまくってこの魔王がここから出られなくしてやる。パイネはやはりドワーフだからか見ることに夢中になっていた。
レナ :どうして同じ装備ばかり作ってるのかしら。しかも気色の悪いスピードで
魔王サブサ風呂:新装備ヲ 作成スル タメダ
レナ :あのねえ、そんなんで作れるようになるわけ……
魔王サブサ風呂:ヤッタゾ 大成功ダ コレデ覚エタ
レナ :は?
「よしきた!ナイスー」
≪鍛冶の熟練度アップ 新装備ナイトメアメイルが解放されました≫
何か強そう。秒で作ると禍々しいデザインの黒メイルが出来上がった。闇耐性アップはいずれ必要になるだろうし、防御も1,5倍となった。
レナ :貴方っホント滅茶苦茶ね。木こりって話はどこにいったのよ
NPCだけど気持ちがいい。もっと言って。俺を褒めたたえてチョロ姉。
パイネ :弟子にして
とりあえずパイネさんは放置して──
パイネ :弟子にして
ヤバい回り込まれた。一生ついてくるやつだこれ。もう俺は教会連中で学んだぞ。仕方なく鍛冶槌をプレゼントで渡してみる。
魔王サブサ風呂:ソノ ハンマー ヲ 師ト アオゲ
パイネ :わかった!
≪パイネの好感度が大幅にアップしました≫
イミール :いや……いいのかそれで
大丈夫だイミール、俺も同じ気持ちだ。
レナ :ねえ、パイネ。そういうのってチョロいって言うのよ
「……」
やべえ、中に入ってこのエルフにつっこみてえ。まあ兎に角、これで準備は整った。しかし、何か忘れてる気がすると唸り俺はあっと声を出した。
「捕虜のこと忘れてるわ」
このゲームは時間が流れる。ぶちこんで一日、ほったらかしだったことを俺は思い出したのだ。




