102.【俺】新たに覚えた力で会議を覗く
その前にと冒険者の一人が声をあげる。モブなんだろう。ネームは表示されず、赤髪の女冒険者だった。
女冒険者 :待ちな。その前にあのリーデシア兵が黒かどうかを話すべきじゃないのかい?
俺の事。そうだそうだと賛同の声が上がる。
レグナード :白だ。奴は人間だと私が保証する。魔物と手を結ぶような人間では断じてない
女冒険者 :何故言い切れる?まさか知り合いかい?あれは魔物使いって話じゃないか。そしてリーデシア兵。この町を攻め落とすために魔物を率いるつもりなんて筋書き。強ち夢見てるとは思えないけどね
レグナード :メリットがない。奴らリーデシアは強い。その気ならば魔物の手を借りずともペルシアなど楽に落とせるだろう。事実国を落としたのだ。大体、人が魔物の群を率いるのはデメリットしかない。世界を敵に回すだけだ
あれ?これもしかして俺世界と戦う流れ?
ボッシュ :ただでさえスタンピードの予兆が出てる時なんだ。悪戯に刺激してリーデシアとまで事を構えることになったら地獄を見る
女冒険者 :知らないとは言わせないよ。あれは不落を手に掛けた
レグナード :先に手を出したのは不落側。どういうわけか訳の分からん教会連中までも奴に付き従っている。完全な黒と判断できなければ絶対に触れてはならん相手だ。リーデシアとスタンピードを両方を相手どるなど不可能。話はそれだけか?
女冒険者 :ちっ
レグナード :ウィルソン
ウィルソン :あっはい
じゃあ早速とウィルソンが空白地帯の地図を置いた。思ったより広い。その一部を彼は赤のマジックペンで囲った。どうでもいいが文化レベルどうなってるんだろうか。何かポンポン俺達の世界の産物出てくるんだけどゲームだからこんなもん?
ウィルソン :見ての通りこの辺りに魔物の巨大な住処。正体はトレント。その数少なく見積もっても十一万ですね
「あれ?まさかまた増えた?」
思わず呟いてしまった。もう勘弁して欲しい。宝くじ当たって親戚どんどん増えてゆくみたいな奴。
女冒険者 :ふん、トレントなら大したことないじゃないか。私の火魔法で焼き払ってやるよ
ここで割って入ったのは『ホルスター』のマインツ。悪漢な大男である。
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マインツ・ホルスター RANK C 『ホルスター』リーダー Lv27
HP9,800 MP120
武道家
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マインツ :馬鹿が。最弱の魔物が空白で巣を作るとかありえるかよ
レグナード :そう。そして先のゴブリンの不可解な動き。何者かによって指揮されているとみて間違いない。指揮を得た魔物の群れは厄介だ。討伐クエストもB級相当に跳ね上がる
これにCランク冒険者達が唸る。すっと白の修道服をきたピンク髪の少女が手を挙げた。
「あっこの子可愛い」
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プラム・ヴィンヴィヤージュ RANK C 『悪滅聖歌隊』リーダー Lv24
HP7,700 MP1380
聖歌隊
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プラム :あの……王都に応援要請を出すのはどうでしょう。私達揃ってCランク。Bランクの依頼となれば少々厳しいものがあり死者が多数でるでしょう。こんな格好をしてますが回復魔法を使えないので頼られても困りますし
レグナード :王都は腐っている。知らせたところで碌なことにならん
マインツ :おいおいてめえらの国だぜ?まさか捨てるなんて……冗談だろ?
真剣な表情に冗談ではないと分かったようだ。
ボッシュ :現王政を握っている第一王子は愚王だ。だからこそリーデシアも奴に任せたんだろうな
レグナード :戦力であるB級が集められた時点で察しろ。あれらが戻ってくることはない。あの男は自らの幸福にしか興味がない。周囲がどうなろうとな
プラム :まるで見てきたみたいに言うのですね
レグナード :私としては住んでいながら国のトップを知らぬ方がどうかしていると思うが。まるで魔法に掛けられたかのように皆興味がない。理解に苦しむ
思う所があるのかシンとする。確かに属国属国というがさほど気にしてない感じは違和感があった。俺はゲームだから適当だって思ってたけどもしかすると何かあるのかもしれない。ってか何か前にも似たようなこと思ったな。なんだっけ?あーメルカトル魔導大国の賢者様だ。アーロンだっけ?
女冒険者 :ケルベックの旦那はどうだい?アイツはCのソロだろ?王都の招集を蹴ったって聞いたよ
そうだケルベックと声が上がるがボッシュが首を振った。
ボッシュ :音信不通だ。あのリーデシア兵とひと悶着あったらしい。俺達だけでやるしかない
レグナード :スタンピードの前兆。その定石は早期解決だ。時間を空ければ群れは増え、手に負えなくなるだろう。お前たちもここを失うのは受け入れらないはずだ
全員の意思を確認したレグナードはその瞳を瞬かせた。
レグナード :では作戦を説明する。これより極秘事項とする。絶対に漏らすな
「筒抜けでごめん」
つい謝ってしまった。




