101.【俺】受付嬢をじっと見つめる
シアラ :あの……私……これ聞いちゃって良かったんでしょうか
レグナード :大方、ダンプストに頼まれたのだろうが、漏らせばどうなるか分かるくらいの頭はあるだろう
シアラ :ひゃい。絶対に言いません
ボッシュ :しかし、レグ。彼がハズレとなるといよいよ厄介だぞ
レグナード :そうだな。本格的にスタンピードの可能性が高まった
シアラ :そんな……
ボッシュ :リーデシアの魔道具。アンタが協力してくれれば楽かもしれないんだがな
ボッシュの提案にサブサブロは首を振った。
魔王サブサ風呂:スマナイガ 我ニハ ヤルベキ コトガアル
ボッシュ :だろうな。受付嬢、早速会議だ。冒険者達を集めてくれ
シアラ :今すぐ!
テテテっと駆け出たシアラちゃんを見送ってレグナードがサブサブロを見た。
レグナード :疑いは晴れた。何をしているかも聞かん。だが私はこれで愛国の心が強いらしくてな。民を脅かすものがあれば容赦しない。たとえその相手がリーデシアであろうとだ
じっと見据え合うレグナードとサブサブロ。視線を切ってレグナードはボッシュを連れて出てゆく。まだこれから先のシナリオがどうなるか見当すらつかないが、何となく複雑な関係になりそうな二人だと俺は思った。
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サブサブロは一時的に疑いを晴らした。関与がバレないように魔物を動かし、ウィルソンを倒すもしくは捕縛しよう。イベント発生(冒険者との闘い)日時を決定してください
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「えっと日曜日っと」
このゲームはリアルタイムアドベンチャー。日時を決めなくてはいけない。用事ができて間に合わないと失敗扱いになる。工作活動によってずらせるとはいえ、かなりシビアな設定。リアルさを演出しているのだろう。
高瀬さんが横で見る予定なのでできれば殺しより捕縛したい。女子から嫌われない。クリーンな戦争を心がけたいと思う。
後、魔物の死者も出したくない。流石にモブまでは難しいだろうか名付きだけはどうにか生かしたい。シミュレーションゲームのノーデスクリアみたいなのをやりたいのだ。
「お」
≪魔眼を見たことでサブサブロが新たな力に目覚めました≫
≪サブサブロが専用スキル魔王眼を手に入れました≫
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≪魔王眼≫
あらゆる障壁を突破し、見ることができる魔眼。範囲100m
だが女湯は覗けない 使用時無防備になる
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「ただの覗きじゃねえか」
≪チュートリアル 魔王眼で冒険者達の会議を盗み見よう≫
魔王眼とかいう大層な名前なのに覗き見スキルだった。射程も短くて何かカッコ悪いしウィルソンの劣化なんですけど。サブロさん典型的な何でもできる器用貧乏キャラになってない?まあ有効なのは有効なので、しぶしぶゲーム指示に従った俺はギルドのホームでまた壁に凭れかかってスキルを使用することにした。何となく体はシアラちゃんに向けておこうと思う。
「おお」
ボタンを押して発動させると視線が切り替わった。使い勝手はいい。仕掛けた監視カメラを見ている感じだ。見下ろし視点。C級の冒険者達が集まっている。レグナード、やはり彼が指揮をとるようだ。王子なだけあって様になっている。
しかもどういう原理か声まで聞こえる。これなら魔王眼、結構使えるかもだ。
ボッシュ :王子が国取られて気にしてねえってか
レグナード :黙っていろ。お前は一々煩い
ボッシュ :やだね、お目付け役なんだ。身分が違おうと言いたいことは言わせて貰う
ウィルソン :レグナードさん、盗聴、透視関連の魔法は使われてません
透視と言われてドキッとした。告げたのはウィルソン。やはり彼が一番厄介。眼の色が変わっている気がするのでまた彼の魔眼を使ったか。どんな力を持っているのかを知りたい。
レグナード :ボッシュ、奴は?
おっとやっぱまだ疑ってる感じか?怖いなこいつ。
ボッシュ :まだギルドにいて、うっ受付嬢をじっと見つめてるんだそうだ
レグナード :……今は奴の事は忘れよう
ボッシュ :だな
何かごめんて。ただ言い訳させて貰うならゲームの指示に従っただけだから俺は悪くない。体は向けたけど俺は悪くないんだ。そしてやっぱり警戒まではといていないようだ。まあ流石にそうか。誰かのせいで行動が変だもんなサブロさん。
「では早速だが会議を始める。無論議題はスタンピードについてだ」




