100.【俺】レグナードの正体を知る
息を呑む音が鳴った。彼ら森騎団にとってすればそれはよほどのことであるらしい。彼らもこの提案は寝耳に水だったようでボッシュというオッサンが堪らず声を上げた。
ボッシュ :ちょっちょっと待て。お前がそこまでする必要は!?
レグナード:忘れるな。相手はあのリーデシアに属する者だ。強制はできない。こちらも身を切らねばならない。身分を明かした私が対応すべき相手だ
選択肢はでない。実際、サブサブロの正体は人間とはいえないので俺は心配したけれどサブサブロは了承した。
魔王サブサ風呂:イイダロウ ダガ ソコノオ前 ダケダ
ボッシュ :待て俺も参加する
レグナード :お前の正体にはそこまでの価値がないと思うが?
ボッシュ :何で仲間のが失礼なんだよ
魔王サブサ風呂:早クシロ 我ハ 忙ガシイノダ
シアラ :わっ私が案内します!
話を聞いていたようでシアラちゃんが身を乗り出して手をあげた。ギルド奥へと通される。キャラ操作してると感じにくいが、銃弾でぶち抜いた相手が全く気にせず堂々としているのは相手からすると恐怖だよなと俺は思う。
シアラ :ここです
会議室か。世界地図が飾られた少し広い部屋に通された。どういうわけか世界マップがないので正直じっくり地図を見たかったけれど、イベントなので諦める。
ボッシュ :ありがとう、君はここで出て行ってくれ
シアラ :あの……私も見ちゃ駄目ですか?
レグナード :すまないが
上目遣いをするシアラちゃん。森騎団の二人は難色を示したが出た選択肢を俺はノータイムで選び取った。
魔王サブサ風呂:イイダロウ 美人 ニ見ラレルノモ ワルクナイ
……と全員から見つめられる。何かサブサブロにも責められてる気がするが俺は悪くない。そういう選択肢が用意されてるのが悪いのだ。うん、このゲームが悪い。うんうん。
レグナード :私から見せた方がいいか?
魔王サブサ風呂:イヤ 我カラ 見セヨウ
そういって躊躇うことなく兜を脱ぎ捨てるサブサブロ。レグナードに負けていない金髪の美青年の顔が露わになる。バグでできなかったけどキャラクリできてたら俺はここで爆笑を拾っていた自信がある。うん、できなくて良かった。
「さくっと明かすんだな。この辺ゲームだしガバい感じか?」
サブサブロは元リーデシア兵の死体であり、中身は魔王で人間じゃない。だから、普通にバレてしまわないかちょっと不安。俺としてはできればペルシアの町をまだ追い出されたくない。
サブサブロの姿に二人は目を見開き、シアラちゃんは頬を染める。好感度上がったくさいがそこまで嬉しくない。彼女の→が俺じゃなくサブサブロだからだろう。
ボッシュ :レグ……彼は人間だ
看破されずにホッとする。ってことは死んだこと知ってる知り合いとかに気を付ける感じかな。オープニングで泣いてた親族っぽい女の子とかに要注意?
レグナード :そのようだな。まさかリーデシアの金髪とは。貴方が魔物と協力するわけはないな。疑ってすまなかった。この通り非礼を詫びる
「ん?知ってんのかな」
気になったが聞きだす操作はできなかった。
レグナード :これが私とボッシュの正体だ
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レグナード(23)ドラムニュート王国の第二王子
ボッシュ (31)王国騎士団大隊長
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ヤバ、飲み物気管に入った。後、ちゃっかりこいつらステータス隠してる。
魔王サブサ風呂:王子?
レグナード :元が付くがな。リーデシアとの講和を取り付けるために我が国の統治形態を解体する必要があった。それも民に知らせることなく極秘裏にという条件で。正直、帝国の考えることは理解不能だ。一周回ってド素人が施政を担っているんじゃないかと思えるほどにな
魔王サブサ風呂:リーデシア帝国ニ 恨ミヲ抱イテ イルト?
レグナード :いや、こんなことを言ってはあれだがむしろ私は感謝している。我が国の腐敗っぷりが明らかとなった。それに私は王子よりも冒険者の方がよっぽど性にあっているようだ。お前達は血も涙もないと言われているが無血でこの国を獲り民に犠牲を出さなんだ。転移を使った一撃強襲には度肝を抜かされたよ。まあだからこそ何が起こったのか市井はまるで理解していないようだがな。
そうレグナードは肩を竦めたのだった。何だろう、イケメンも駄目なところあった方が可愛げあるって最上は思います。
不死鳥バッツが100話到達をお知らせ致します
バッツ :クワッ!クワッ! クワアアアァ
ここまで読んでくれて感謝 2章もうすぐ終わりです




