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最強生物 ゴブリン  作者: ゴブリン坊主
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第3話 VS アルミラージ(一角兎)


覚醒した部屋を恐る恐る出て、通路をゆっくりと進む


通路の幅も高さも大型の魔物が得物を振り回しても余裕がある


(この階で大型の魔物とは出会いたくないなぁ)


強化の一つもしていないゴブリンなぞ、瞬殺されること請け合いだ


壁が仄かに発光しており視界は悪くなかった


(夜目の利くゴブリンにとっては暗闇の方が都合がいいんだけどな)


(おおっと! 油断大敵だった!)


そう思い、気を取り直した直後


その時は訪れた


初めての敵との遭遇


相手はアルミラージ


鋭い角を持つ兎の姿をした魔物だ


角さえなければ、かわいい赤目の兎


対するは、背丈は子供だが顔は醜悪な緑の怪物


ランク的には互角


最弱 VS 最弱


しかしワタルは苦戦を強いられることになる


(ゴブリンってこんなに弱いのかよ)


弱音を吐くのも無理はない


相手の俊敏さにまるで対応しきれていない


その外見とは裏腹に、壁を利用しての三角飛びなどを織り交ぜ、様々な角度から容赦のない攻撃を浴びせてくる


何とか致命的な攻撃は盾で防いでいるものの、何度も鋭い角を突きこまれ、既に満身創痍


一進一退の攻防は半時を過ぎていても決着がつかないでいた




アルミラージの固有スキルは『弱点察知』


生き物の弱点と言えば『心臓』


心臓にダメージを与えて停止させれば、大抵の生物は死ぬ


しかし、何も弱点とは心臓の事だけを指している訳ではない


クリティカルな攻撃ではなくても、相手を倒すことは出来る


例えば足 足にケガを負えば敵の行動力は大幅に低下する


動きが鈍った相手には攻撃を当てやすくなる


時間をかければ、出血でそのまま勝負が決することもあり得る




固い甲殻や鱗の隙間、重要な臓器の場所など


アルミラージは固有スキル『弱点察知』によって相手の弱点を見つけることが出来る


弱点を発見するや否や、即座に目標目掛けて突進


その剣呑な角を突き立てるのだ


ワタルは盾をずらし、右足に隙を作る


そのわざとらしさに、少し頭の周る魔物ならば警戒する事だろう


だが、アルミラージは機械的に『弱点察知』を発動し、右太ももを弱点と判断


即座に飛び掛かり串刺しにする


太ももは装甲につつまれていない


ゴブリンの貧弱な皮膚など容易く突き破ることが出来た


(つっ! 痛ぇ! 死ぬほど痛ぇ! だが、かかったな!)


苦戦しながらも敵を観察していたワタルは、アルミラージがまるで単純なプログラムに沿って動いているように感じ一計を案じた


『肉を切らせて骨を断つ』ならぬ『肉を突かせて骨を断つ』作戦である


『核』を魔改造された際に、思考も制御されてしまったのだろう


故に、わざとらしい罠にも疑いもせず飛び込んでしまった


一角兎は突き刺さった角を引き抜かんと、後ろ足でワタルの右太ももを蹴りつけんとするが


(こんにゃろ! 逃がすかよ!)


逃がせば、今までの苦労がすべて水の泡


必死になるのも当然


その首筋に、逆手に握り替えられた小剣が深々と突き刺さる


ワタルの手に十分な手ごたえが伝わる


ゴブリンの策にはまった哀れな兎は、しばらく力なく後ろ脚を動かしていた


最後にはぐったりと角を突き立てた右太股にぶら下がる形となる


(アルミラージ ゲットだぜっ!)


こうして激戦は終わりを告げた、ワタルの読み通り一定のパターンで動くのであれば、次回のアルミラージ戦は確実に勝てるはずだ


太ももの痛みは覚悟せねばならないが・・・





さて、お楽しみのパワーアップの時間だ


激痛に顔をゆがめながらも角を太ももから引き抜き、息絶えたアルミラージから『核』を取り出す


魔王のチュートリアル動画では『核』を手のひらに乗せ『吸収』と念じれば、自動的に内部の情報を読み取り、力を吸収できるとあった


説明通りに念じれば、『核』は光の粒子へと姿を変え手のひらを伝って身体中に広がっていく


身体に力が漲り、痛々しい太ももの刺し傷もみるみるうちに塞がっていくではないか!


束の間、達成感を味わっていたが次第に疑問が湧いてくる


想定外の出来事があったというか、無かったからだ


(あれ? 固有スキルゲット出来てなくね?)


その理由はワタル自身の固有スキルに関りがあるのであった

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