ーー入学ーー
「さて、と…荷解き終わり!少し早いけど行きますか。」
春だというのには少し肌寒い日。真新しい制服に身を包み、少年は学園へと足を運ぶ。
(結局、興奮して一睡もできなかった…)
寝惚け眼の瞼を擦り、緩やかな足取りで歩き出す。
まだ生徒はまばらで、門の前には【入学式】の文字。
今日から僕はこの学園で3年間、学生生活を送る。
門を入ると、メッセージボードにクラス名簿が張り出されていた。
(1年…Bクラス。あった!僕の名前だ!)
指定された教室に向かう。実家で身につけた15分前行動。ついに30分前行動になりつつあるが、特にすることもないのでこれまた指定された席に腰を下ろし、教室を見渡す。
机に突っ伏している女生徒。2人で談笑する男子生徒。携帯端末を触る女生徒が3人。窓際で外を眺める男子生徒など、教室にはすでに何人かの姿があった。
今日からここで、魔法を学ぶ。
自分の学力から考えると、かなり高い水準の学園を選んだ。
ーーー国立第1魔法学校。
座学、魔法実技、共にトップクラス。
就職前の職業経験も幅広く用意され、自衛軍や警察大学への進学もサポートされている為、軍への入隊も少なくない。
校内戦、学園選抜戦では直々に各分野のスカウトが来ることも。
魔法工房設備も充実していて、武器の作成、錬金、改造も出来てしまうほどの大型工房が特徴。
図書館の本保有数は国内No.1。機密文書の取り扱いまでされているため、国内外から訪れる者が後を絶たない(機密文書が狙われる、という意味で)。