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戦姫ロイアス譚   作者: 藤出雲
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episode 0 「灰色の悪意」 第十五話

第十五話


セイラガイス王国北方に聳える、バイル山脈。

鍛治探鉱民族であるレラ人が、この地域帯に根差していたのには「色素態鉱鉄」と、後の時代…つまり今、そう呼ばれている鉱鉄が豊富に採掘されるからであった。

山の女神バイルシィラが、かつての龍魔戦において悪魔王プーリンに滅ぼされた時、その霊性の全てが山脈地帯に降り注いだとされ、其処から得られる鉱鉄こそが大陸屈指の武具となるのである。

ラゴロデ・ケラスコットは、原始レラ人の純血族であった。

レラ人でないと、その潜在能力を引き出せないと言われる色素態鉱鉄。

ラゴロデが置いた巨大な木箱には…。

「ま、ともかくだ。ここ何年かの中ではまあまあ良い感じに仕上がったもんばかりを選んで持って来てやったから、そこそこやれるんじゃねえかと思うわ」

ラゴロデが、豪快に笑う。

「さ、行って来い」

リナリナ…ロイアスが、頷いた。

「くそっ…」

カルトローサが、歯軋りする。

「一度お帰り」

カーシュの声に、灰炎蝙蝠の羽ばたきが一旦止まり、小さくなった。そして、ふわりと悪魔の肩に乗る。

「可愛いでしょ?僕のお気に入りのペットさ」

闘技場内に、人肉の焼ける匂いが充満していた。

「さあ、そろそろ終わりにするかい?」

にやりと、カーシュが笑い、蝙蝠を振りかざした。

その瞬間。


「待ちなさい!」


透き通る。


正にそんな表現が相応しい、響き渡る凛とした声。

其処に立っていたのは、4人の少年、少女。

その脇には、第一騎士団長補佐、ペイドン。

「んん?…誰?」

カーシュが、首を傾げる。


「私は、セイラガイス王国第四王女、ロイアス・タチュエラ・セルドトゥリスン・セルディテューラ・セイラガイス!悪魔の化身!これ以上の狼藉は許さないよ!」


リナリナの姿ではなく、本来の様相に戻っているロイアスが、悪魔に対峙する。

「…お、お、お、俺達なんかで、や、や、やれるのか…?」

「何を今更…腹を括りましょうよ…」

王女の横に立っていたのは、リトラス・テンプフィルとエンネランス・フリネラ。


「ふーん…で?その王女様が、この僕に一体何が出来るって言う…ん…!?」


カーシュが言い終わる前に、ロイアスの横にそれ迄居た筈の少年が姿を消していた。


「はあ!」


少年は、何時の間にかカーシュの背後に回っていた。

そして、蝙蝠を翳していた悪魔の腕に、手にしていた剣を振り下ろした。


「セイラガイス王国軍騎士団見習い、アスドガリス・ブルーツェ・カーロ!いくぜ!」


斬り裂く事こそ出来なかったが、カーシュの腕を見事に弾いた一撃である。その剣からは、青色の光が発生していた。

「…!」

「まだまだ!」

その一撃から身体を捻って勢いをつけ、アスドガリスの剣撃が無数に飛んだ。

「…アスドガリス?!何で…」

カルトローサが、弟の参戦に驚愕の声を漏らす。


「さ、行きますよ!同じく、セイラガイス王国軍魔法僧兵団見習い、エンネランス・フリネラ!」


続いて、エンネランスがアスドガリスとは逆方向に突進。左右からカーシュを挟む形で攻撃した。その手には、木製ではない、金属製の長棒。こちらは、鮮やかな黄色い光を纏っている。


「や、やるしかない…か…!よ、よし…!お、お、お、同じく、セイラガイス王国軍騎士団見習い、リトラス・テンプフィル!」


彼も、練習用ではない金属製の槍を手にしており、それには他の3人同様、緑色の光が在った。

「姫君様は、私と行きますよ!セイラガイス王国軍第一騎士団長補佐、ペイドン・リ・ハーリンレイス。古の悪魔よ、覚悟!」

余りに意外過ぎる援軍に、カーシュだけではなく、騎士団も一瞬唖然とした。


「やあ!」


ロイアスが手にしていた、短めの剣が淡い桃色に光り、上段からの剣撃と共にカーシュに向かっていった。


「む…!」

カーシュが、左手でそれを弾く。

しかし。

「…へえ!」

悪魔の左手には、ざっくりと斬撃による痕がついていた。


「凄い…!これなら…!!宜しくね、聖剣タチュエラ」


ロイアスが、自らの名を冠した剣を、更に力強く握り締めた。

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