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なんであれお金は大事に扱いましょう

初作品。初投稿。

つたない文章ではありますが、完結目指して少しずつでも書いていければと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

小さい頃から曲がったことが嫌いだった。幼稚園では先生の言うことを聞かずに困らせる子どもに注意をしていた。小学生になると妹をいじめる上級生らに一人で抗議に行き、ボロボロになりながらも謝罪を約束させもした。


人よりも少しだけ正義感があり、人よりも少しだけ行動力がある。それが俺……結城優也だ。…………ちなみにこれ他称だからね?別にナルシストなんかじゃないからね?


中学校生活も佳境に向かえ、俺を含む三年生は受験の追い込みの段階に来ていた。普段お世辞にも成績が良いとは言えない俺も、友人らのサポートにより直近の模試では第一志望校への合格ラインをクリアしていた。と言っても安心するにはまだ早く、この日も学校近くのファミレスで勉強会を開いている。


「ずっと前から思ってけどさ、優也ってやれば出来るんだよなぁ」

「いきなりなんだよ。皆の教え方が良いんだよ」

「まぁ、優也は普段勉強なんてしないし、授業中も居眠りしてるけど頭が悪いわけではないからね」

「瑞希……それ誉めてる?」

「もちろん日々の怠惰を攻めているよ」


いくら本当のことでもオブラートに包むということをしないのかね?この実妹は。


俺と妹の瑞希は俺が4月生まれ、瑞希が3月生まれということもあり、同級生となっている。そのため、双子というわけでもない妹に勉強を教わる兄貴が出来たのである。

うん。不甲斐ないな俺。


「相変わらず優也は瑞希ちゃんに弱いよなぁ」

「この流れもお馴染みって感じだよね~」

「確かに毎回優也くんが調子に乗って瑞希が罵倒して優也くんが再起不能になるもんね」

「え?俺調子乗った?ねぇ?調子乗ってた?」


俺らが生まれてこのかた暮らしてきた地域では幼稚園の頃から一学年毎の学級数が一つしかなく、必然的に同級生はクラスメイトとなった。この五人は幼稚園の頃から共に遊び、学び、成長してきた所謂幼馴染みという間柄だ。


俺にとってこの四人と過ごす時間は最も落ち着ける大切なものだ。できればずっとこうして皆で一緒にいれたらと本気で思う。


「ねぇあそこの席何かあったのかな?」


瑞希の視線の先を追うと一人のウェイトレスが客である学生らしきグループに必死に頭を下げていた。てか客の方、すごいな。まさにザ不良て感じだな。


大方何かいちゃもんをつけ、無料で飯にありつこうという魂胆なんだろうけど、この結城優也の前でそんなことさせるわけにはいかねえよ。ここはビシッと言ってやろう。

……と思ったが他の店員さんが来て対応初めちゃったな。この半分上げた腰どうしよう?


「ドンマイ優也、ここはあの店員に任せて俺たちは先行きを見守ろうじゃないか」

「大体優也が首突っ込むことないでしょ 」

「瑞希……それは無理よ。だって優也くんだし」

「うんうん優也くんのそれはもう病気の域だよね~」

「お前らなぁ……」


「てめぇ!なめてんのか!!!」


俺の言葉を遮り聞こえてきたのは不良グループの一人の怒鳴り声だった。どうやら仲介に入った店員さんに対して怒ってるぽいな。それにしては店員のさん方は全く気にしていないのか?完全な無表情だな。


「お客様落ち着いてください。他のお客様のご迷惑になります」

「店員さんよぉあんまりなめてんじゃねぇよ。俺らはそっちの女の子と話してんだからさっさと引っ込めや」

「申し訳ありませんが彼女は業務中でしてお客様と歓談するお時間はありません」

「だったらてめぇが俺らとしゃべってんのも駄目なんじゃないですかねぇ自分だけ特別扱いですかぁ」

「……そのような考えはありませんがお客様に嫌悪感を与えてしまいましたのであれば謝らせていただきます。申し訳ありませんでした」


店員さんは深々と頭を下げ、それに気を良くしたのか不良らの表情からは先ほどまでの怒りと代わり相手を見下すかのような笑みが見える。


「おいおいお客様は神様だろ?申し訳ありませんで済むわけねぇだろ」

「……どのように謝罪すればよろしいでしょうか?」

「とりあえず金出せよ。慰謝料だよ慰謝料」


うわぁ慰謝料て、そんなの出すわけないだろ。最近の不良は馬鹿なのか?馬鹿だな。


「……分かりました」


えぇ?良いの?お金って大事だよ?もっと大切にしろよ!

もう見てられないな。周りに他の店員さんはいないみたいだし、いらない世話かもしれないけど首突っ込ませてもらおう。


俺が立ち上がりながら、ちらりと瑞希の方を見ると呆れた表情をしつつもため息を吐くだけで特に何も言ってこなかった。持つべきは兄のことをよく理解してる妹だな。止めても意味がないことをわかってる。


これは俺の自己満足だ。目の前で誰かが困ってたら助けたい。それで周りの人が心配したりするときがあるのもわかってる。それでも俺は何もしないなんてことは絶対にやだ。俺に出来ることがあるなら精一杯やる。それが結城優也なのだから。


「ちょっと、あんたら……「痛ぇ!!」


店員さんはポケットから硬貨(多分100円玉)を取り出すと不良の一人に向かって弾き、それが目に入ったようだ。そこそこ勢いもあったし痛みもそれなりのようで目を抑えてうめいている。

…………てか、この行き場の無い感じどうしよう?



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