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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ドイツ・猿の手編
93/212

魂と胎児と融合個体 -参-


 ゴバッ!!

 姉ちゃんの手から閃光が放たれる。

 今解るのはひとつだけ、今の姉ちゃんは“姉ちゃんではない”ことだ。


「おいおいおいおい!! どうするんだよ、これ?!」

「――私に解ると思ったの? 解るわけないでしょ?! そもそも伝承で人間とカミサマが融合したってのはあるけどガチで出来るとは思わなかったし!!」

「とにかく動きを封じて……、でもどういう攻撃パターンか見極めなきゃ……」


 三種三様の驚きが流れる。

 ここで――俺が冷静でなくてどうするんだ?

 俺は考えることもなく、結論を見出だした。


「……ひとまず戦力を確認しよう。俺と碧さんと祐希。俺の封霊銃ピースフル・フィストはあと五発残ってる。祐希のは?」

「……僕のは六発だ」

「オーケー、つまりは十一発+碧さんなわけだ。これでケリつけなきゃ……ハーメルンがどうなるか、想像もつかねぇ」


 ハーメルンで済めばいいがな。

 こんなオカルトなものを作ろうとしてるなら、その資金力も半端無いはずだ。つまりは、この騒動を隠蔽するのだって可能だろう。

 それにこんなもの作り上げた連中が世界に行かないとか(既にここが世界な訳だが)有り得ない。俺がその立場ならそうしてる。


「……話は解ったんだけど、どうやって戦うのかな? 最大の武器が封霊銃じゃ、ちょっち厳しいものがあるんじゃない?」

「その時の碧さんだろが。碧さんはぶっちゃけただの幽霊じゃない」


 祐希が反論したのでそれだけ言っておいた。まぁ、幽霊でも妖怪ざしきわらしでもない、もしかしたらカミサマって可能性も十分に考えられるけどな。


「……幽霊じゃないの?」

「幽霊ではあるよ。狭義ではなくて広義の、だけどね」

「広義の幽霊?」

「まぁ……広義になるとほぼ霊体全体とイコールになるんだけどね。だから狭義ではなくて広義。幽霊なんて堅苦しいカテゴリにカテゴリエラーの風を吹き下ろす! ……ってのはちょっと言い過ぎかな?」


 つまり幽霊のカテゴリを若干エラーしてる存在……。ややこしいから『幽霊』でまとめてしまうが、要は碧さんは凄い(らしい)のだ。


「なんか不確定要素追加しなかったかしら?!」

「ソースが微妙だからしゃーないだろ、諦めろ」

「むー」


 そんなこと言うならワタシ働かないわよ!! と言わんばかりに頬を膨らませ、碧さんはほわほわと浮かんでいた。


「……ははは。これが神事警察の実力か……! 弱い、滑稽!」


 なんか玉城さんが急に中二病開花させたんだけど。あれ、どうかした?



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