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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ドイツ・猿の手編
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麦酒と人間の国際交流(前編)


「……気をつけたほうがいいと思いますよ」


 土岐津さんが唐突に話のトーンを変えた。誰が聞いてなくても、この話の重大さが理解出来る程に。


「どうしたんだい? 急にそんなこと言って」

「猿の手は私たち『ELO』でさえ解析に手が回ってません。ヨーロッパのオカルトは私たちの領土なのにあなたたちに譲った。……その理由が解りますか?」


 ELO――Europe Laboratory of Occult、日本語に訳せば欧州霊体研究機構、はヨーロッパに関するオカルトの対策を強化するため、七年前にEU本部のあるベルギー・ブリュッセルに設置されたものだ。建前上は日本にある神事警察の直下に置かれた組織だが、方向性についてよく対立する組織……だと俺は羽田空港へ向かう道先で見ていた資料にそんなことが書いてあったことを思い出した。

 ならば、益々気になるのはその理由。

 彼女はさっきドイツの人間は双務的契約性が色濃くあると言った。

 それは昔にヨーロッパにあった封建制に古く関わっていくのだが……そのあたりは別段言うこともないだろう。

 つまるところ、プライドが高いというわけだ。だからこそ、気になる。

 なぜわざわざ日本から呼ばせたのか、ということに。


「……『それ』が初めて観測されたのは十年前のことです。はじめは願いを叶えるなど解らない、ただのミイラに過ぎなかったんです」

「願いを叶えるものではなかった?」

「はい。普通霊体が憑いているものなら霊体を引き剥がして新しい霊体を呼ばない限りその能力は変わることがないはずなんです」


 確かにその通りだ、と姉ちゃんの言葉に俺もつられて頷く。間違ったことは一つも言ってない。寧ろ何処を間違えているか指摘してほしいほどだ。


「……だが、その『猿の手』はそれが出来た。もともとはただ動くだけだったんです。だから一度封印を試みたのですが……」

「……ですが?」


 何かあったのか?


「猿の手を誰かが盗んだんです。誰か、といっても解っています。ELOの人間が」

「……どういうことだ?」

「操られていた、というのが当時の人間の認識です。ですが……そのなかでもそうとは思えない人間も出てきたのです」

「……“操られていた”訳ではない、と?」

「ええ」土岐津さんはハンドルを切りながら話を続ける。「操られていたのではなく、『猿の手』自身が出した霊力に魅せられていたのではないか、というのがその人間たちの意見です」

「なるほど……霊力に魅せられていた、か……」


 そうなると話が変わってくるな。まさかそんなことになるとは……。

 これは俺が考えていることより厄介なものなのかもしれないな。



タイトル詐欺に思えますが、後編はちゃんとタイトルに沿った内容になると思いますのでもうちょっと待ってください。

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