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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ドイツ・猿の手編
64/212

酒とカミサマの因果関係(後編)

「ゾロアスター教ですかね? まあ、そのへんの歴史はなんとなく覚えてるんですよ。けどあんまり外国の宗教は詳しくないかなーと」

「まあ、あんまり日本の宗教も気にしないくらい多いからねえ。新興宗教とか含めたら百じゃ利かないからねえ」


 ゾロアスター教、とは――。

 善と悪の二元論を特徴とするが、善の勝利と優位が確定されている宗教である。一般に『世界最古の一神教』と言われることもあるが、これは正しくはない。ゾロアスター教の中では、アムシャ・スプンタなど多くの神々が登場する。開祖はゾロアスターである。その根本教典より、アヴェスターの宗教であるともいえ、イラン古代の宗教的伝統の上に立って、ゾロアスターが合理化したものと考えられる。


「……かなり簡単なしくみなんで大好きなんですけどね。最終的に悪は裁かれる、っていうのもいい考えですし」

「それ今のヒーローもののパターンの元祖だよね」


 碧さんがさりげなく介入してくる。いや、別に構わないんだけど。


「でも、ゾロアスター教は今も日本の宗教に影響を与えたりしているんですよ。アフラ・マズダとアーリマンがそれぞれ世界に様々なものを創造するんですけど、その中に、北方の山の源泉から、二つの河を東西に流出させたというのがあり、しかもその河は一旦地下を潜ってから地表に現れるってのがあるんですよね。これが日本の宗教のやつに似ているとか。まあ、そういうのはほんと調べたらキリがないですけどねえ」

「アイス食べに行こうよー」


 ええい、今は俺は話をしているんだ! 静かにしてくれ!


「……話を戻すと、日本酒も大分宗教と関わっていましてね。例えば日本書紀に須佐之男命すさのおのみこと八岐大蛇やまたのおろちを退治するために八塩折之酒やしおおりのさけという八度にわたって醸す酒というものを造らせる記述があるんですよ。実際の酒質がどのようなものであったか、重複して醸すという点でのちの貴醸酒に通じるものがあるのか、そのへんは全然解りませんけどね」

「へえ」

「ビールの起源はパンを水に浸すものですが、日本酒の起源は口嚼ノ酒にあるんですね」

「聞いたことがあるね」


 姉ちゃんまで会話に参加してきただと!?


「確か村中の男女が水と米を用意して生米を噛んでは容器に吐き戻し、一晩以上の時間をおいて酒の香りがし始めたら全員で飲む風習があるって大隅国風土記に書かれているんだっけね。実際に唾液の中に入っている澱粉を分解する酵素、アミラーゼとジアスターゼを利用して空気中にある酵母で発酵させるってしくみだったと思うけど、昔の人はアミラーゼなんて知らなかっただろうし。それを考えると昔の人間はすごいよね」

「そうですね。そしてよく日本酒は神社に供えるってのもあります。だからお酒とカミサマは切っても切れない関係にあるわけなんですよ♪」


 なぜか楽しそうだな署長さん。


「……というわけで署長、酒が飲みたいっ!!」

「うふふ、いいですよ」

「いいのか?!」


 ガタッ!! と机から身を乗り出し、署長に近づいた。近い近い。


「……た・だ・し。ビールと宗教、歴史にかんするレポートをA4用紙五枚以上で執筆するなら」

「簡単、簡単!!」

「それとドイツに願いを叶える猿の手が見つかったという報告があったからそれもきちんと見つけてここまで持ち帰ってきてね」

「簡単、簡単……え?」

「じゃ、よろしくねっ」


 そう言って署長さんは寝てしまった。恐るべき署長。


「なんで私独りなんだよ!! ちくしょう、リトと祐希も付いてこい!!」

「えっ、でも僕は仕事が……」

「いいんだよ祐希!! 国内の雑務はめぐみと署長に任せる!! 私たちは猿の手を見つけに行くぞ!! そしてさっさとビールを飲むのだ!!」


 え、ちょっと待って?! まじですか!? まじで行くの!? というか……。

 なんでいきなりドイツとか行く話になっちゃったわけ……?!


新章、ヨーロッパ編開幕!!

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