表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/212

喫茶店と伏線と敵対組織(後編)

 喫茶店に着くと顔なじみのマスターが俺を呼び出した。


「どうしたんだ?」

「……いいお姉さん待たせてるじゃねえか。女性を待たせちゃいけねえぜ」

「余計なお世話だ」


 俺より二十歳くらいは上なんだが、「敬語は嫌いだからタメでしゃべってくれぃ」というスタンスらしく、そのため敬語で話していない。俺も敬語は好きじゃないからよく通う喫茶店だ。


「なんであんたがここを知ってるんだ?」

「いいじゃん、それくらい。まあ座りなよ」


 なんだこの態度、とか思ったがまあ話すに越したことはないので座って、マスターにカフェオレを注文した。


「そーいや、あの幽霊さんは?」

「今日はお留守番」

「そっか。まあ、彼女がいると話がめんどくさくなるからなあ」


 そう言ってヴォギーニャは笑ってある書類を俺に差し出した。


「……これは?」

「まー、読んでみりゃわかる」

「……『北欧伝承新書』?」

「もともと『ソドム・ゴモラ』はヨーロッパを主に暗躍していてね。日本には八百万の神の力をいただきに来たわけだけど……、まあそのへんはいいか。ともかく、それを読んで、どう思う?」

「北欧神話にゃ詳しくないんだが……ユグドラシルとかネブカドネザルの鍵とか……意味深な物はたくさんあるな」

「そして私の組織はそれを狙っている」


 それ言っていいのか。


「……結論から言おう。この世界は日本だけではない。つまり、世界にも様々な争いがあるわけだ。そんな甘い考えじゃいつか君の首が物理的に飛ぶ」

「そんなこと解ってるさ……。碧さんが憑いてから、な」

「そうか、ならいいや」


 ならいいのかよ。


「んじゃ、ここは私が払っとくから。ああ、あと、次あったら……もう容赦はしない」

「覚えておくよ」

「なら、それじゃ」


 そう言ってヴォギーニャはお金を払って店を出ていった。


「聞こえなかったが、お前さん振られたのか?」

「どっから発展したんだよ、マスター……」

「まあ、いいか。ところで碧さんはどうしたんだ」

「今日は休み。そうだマスター。お持ち帰りにカフェオレひとつ」

「りょーかい、ちょっと待ってな」


 俺はカフェオレを頼んでいる間、ヴォギーニャから貰った資料を見ていた。

 世界には、オカルトなことがまだある。

 それに俺は、立ち向かえるのだろうか――。

 そんなことを考えながら、俺はすっかり冷め切ったカフェオレを一口啜った。




第四話

終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ