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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
神事警察復活篇
49/212

祐希の勇気と最終兵器


「アルテミスの矢……発射……!」


 その言葉とともに祐希が構えていた弓は目映い光に包まれた。眩しいもんだから思わず目を瞑っちまった。

 アルテミスの矢は光速――ともいえるくらい恐ろしい速さで班長さんの身体を貫いた。

 アルテミスの矢は霊体のみを撃ち抜く矢だから身体には影響を及ぼさない、と祐希から聴いたものの……やっぱりあれで身体が傷一つつかないというのは違和感の少しくらい感じてもいいはずだ。


「……いった……か?」

「解らん。生憎私にはあーいう知識はないからな。カミサマを閉じ込めるくらいしか出来ないし」

「……そうかもしれねーけどさ」

「祐希が大丈夫っていったんでしょ? 恋人の言うことくらい信じてやんなよ」

「いやだから俺とあいつがそんな仲じゃないからね?!」

「なんだ、がっかり」

「……いや、そりゃまぁ……、なんかたまに可愛く見える時があるんだけどよ……」

「デレた!」

「ちがわい!」


 アルテミスの矢が放たれてから班長さんの身体は動くことはなかった。呼吸も見受けられない。……まさか死んだっことは、


「ないよ。あくまでもあれは霊体にだけ封印させる。もともと肉付けされた精神はその霊体にコントロールされてただけだから精神に影響を及ぼすこともないし」

「……そうか」


 まさかこいつが予知能力を持っているとは思わなかった。暫く逢わないうちにこいつは人間から別の肉体にでもなっちまったんだろうか?


「……なんか変な目線を感じるんだけど?」


 誤解だ! だから無表情でこっちを見つめないでくれ! お前の真顔怖いんだよ!


「……一件落着って感じなのかな?」


 碧さんはぽつりと呟いた。アルテミスの矢を放ったはいいが……これからどうするんだろうか。それは俺も知りたかったし聞くのが当たり前だろうと思った。


「取り出すのはこちら」

「……破魔矢?」


 見た感じ普通の破魔矢に見えるが、実は違うんだろうな。


「封魔矢、とでも言うのかなぁ。強力な霊体を閉じ込める矢のことなんだけどね」

「聞いたことないな。それで? どう使うんだ?」

「ほんと君はせっかちだね。最後まで話を聞く気はないのかい? ……それはいいか。アルテミスの矢は破魔矢みたく撃破する能力もあるんだけど、また別の能力もあるんだよ」

「それは?」

「空間移動」


 いとも簡単に言ったが、どういうことだ?


「つまりだね、アルテミスの矢は霊体を確実に刺せる。即ちアルテミスの矢は霊体の事を記録したことになる」


 祐希が語り出した。長くなるが聞いておくしかないようだ。こいつは関係ないことは話さないからな。


「そして、霊体は矢から逃げようと脱出を謀る。……そこでこの矢を鬼門になる場所に刺す。鬼門に霊体は逃げていくからおのずとそこに近付かなくてはならなくなるんだ」

「ふむ」

「そこで封魔矢は霊体を感知すると封印のための力を発する。それをくらえば、もう逃げられない。何しろ呪いに近いから、逃げるには封印されるしかない、ってわけだ」



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