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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
神事警察復活篇
46/212

巫女の憑物の除霊作業(前編)


「アルテミスの矢の発動までかかる時間は確か二分間かかる。それの間……そうだな。祐希から合図があるまであいつを押さえ付ける必要がある」


 俺は班長さんを指差し言った。既に班長さんからは霊体反応が人間のそれと変わりつつある。これはまずい。急いで除霊をしなくては……“死ぬ”だろう。

 死ぬといっても肉体的に死ぬのではない。人間の精神がその霊体に乗っ取られ、元の精神が消えてしまう。つまりは精神的に死んでしまうことだ。


「……でもあんた秘策あるの?」

「一瞬だけカミを俺に降ろす。やり方は解る。かごめのうただ」

「かごめかごめのこと? ありゃ徳川埋蔵金の在処を示してるってお偉いさんが言ってるあれのことかしら?」

「とんでもねぇでたらめだがな。確かに松尾芭蕉の奥の細道とかを通った全国の旅はそういうものを全国に流行らせるため……だが如何せん証拠が見当たらねぇ。タイムマシンでも研究されりゃいいんだがな」

「そんなもん一万年かけても作れないでしょ。それくらい私だって解るわ」

「……話を戻すが、かごめかごめは神降ろしの為の童歌って節がある。それを用いて……異界へのゲートを開き、カミを俺に降ろす」

「それが出来てもそのあとは?」

「あとは碧さんの出番でしょ。ま、頼むよ」


 そう言って、俺は別れを告げた。

 こんな俺だが、やることはやらねばならねぇ。あれは……

 俺が神憑きの能力を失った、十二年前に話を戻さねばならないだろう。



 ◇◇◇



 十二年前。

 東京の山深い村に一番大きい屋敷がある。

 そこが瀬谷家の本家で、神憑きの元祖が住んでいた場所でもあった。

 神憑きの中で一番強い家系は河上家ってのは決まってしまっているが、神憑きが生まれたのは恐らく瀬谷家だとされている。

 何しろ瀬谷家はイタコとしていたらしい。青森県の恐山が有名な霊峰で神降ろしを行い、助言を説いた。

 そこである日、ほぼ偶然だったのだが神降ろしをした後からカミサマが異界(カミサマがいる世界、なんでも次元が違うらしい)に帰らなくなったらしく、これが神憑きの元祖となった。その後、その血を受け継いだ四大家により神憑きの風習は今も受け継がれている。

 十二年前、瀬谷家は愚か四大家を二分させた事件がここで発生した。

 血の神降ろし。

 後の人間はそれをこう語った。

 神憑きをするために神降ろしをすることは構わない(むしろそれが当たり前だ)のだが、その神降ろしは既にカミが憑いていた。

 神降ろしはカミが既に憑いているとほぼ百パーセント失敗する。

 その人間、瀬谷孝法もその一人だった。

 そしてそれは……俺の父さんだった。




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