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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
神事警察復活篇
37/212

巫女と兄貴の記憶違い(前編)

「……でもね、私はまたひとりじゃなくなったんだ」


 その言葉を聞いて、俺は訳が解らなくなった。あとまた一人称変えやがったな、作者め。書きづらいからってこんな感じにしやがって。


「ひとりじゃなくなった、ってどういうことですか?」

「お兄ちゃんが帰ってきたんだ」

「へ?」


 ……失踪してた、って言ってたけど帰ってくる? そんなに早く? 二年も寧ろ日本中で探していたはずなのに? 確か今ナンバー制度が導入されたせいで日本人ひとりひとりに十三桁の固有ナンバーがあるから、二年も行方不明でいられるわけないと思っていたんだが……。


「今はお兄ちゃんと二人暮らしよ。お兄ちゃんは大学に通っててね。頭もとてもいいから、勉強を教えてもらってるのよ」

「仲がいいんですね」

「祐希くん。けれどね、なんだかお兄ちゃん、変わった気がするのよ」

「変わった?」

「なんていうか、記憶違い? わたしの覚えてる記憶とお兄ちゃんの覚えてる記憶が違ってて」

「……例えば?」


 祐希が話にどんどんとのめりこんできた。また俺が会話に参入しづらく……!! と壁殴り代行を呼びたいところだがぶっちゃけそんなシーンではないことは重々承知だ。主人公なのに出番がないものはたくさんある。そのへんはほっておくことにしよう。


「首吊り寺って知ってる? 東京の西側にあるんだけど」

「もしかして……青続寺せいぞくじですか?」

「そうそう!」


 話が通じる人がいて嬉しかったのか、班長さんはすこし笑顔を見せた。今まで俯き顔だったので、こちらにとっても嬉しかった。……ところで、首吊り寺とは何処なんだろうか? ……そんなことを自問自答しようとしていたら、祐希が気を利かせてくれた。


「あっ、リトは知らないよね。首吊り寺ってのは名前のとおりさ。昔、寺の裏にある大きな桜の木で女性が首を吊っていたんだって。まあ、それでも江戸時代とかすごい昔の話だよ? それで夜中になると、誰もいないはずの本堂に女性の幽霊が居るんだってさ」

「……なにそのありがちな話」

「いやいや、それが案外そうでもないんだよ? そーいうところの幽霊がまわりに悪さしちゃうこともあるし。だから宮内庁神霊班という部隊があって、リトのような個人経営のだってあるわけなんだし」

「……個人経営は正直余計だ」


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