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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
神事警察復活篇
32/212

巫女と女性の霊媒体質(後編)

 習いましたが、なんとなくそんなのは覚えてないだけです。子供って都合のいいことは覚えてるけど、都合の悪いことは忘れちゃうでしょ? それと同じ。


「……と、あなたは言いそうなので先に話をさっさと進めちゃうわね」

「なぬ?! まさかの心を読まれている!! これは一体どういうこっちゃ!!」

「……話、続けますよ」


 そう言ってまず班長さんはお茶を一口飲んだ。あのおかっぱ頭の女の子(とか言いつつ実際はカミサマだ! とか言ってたけど容姿が幼女だったから幼女には変わりない)が煎れたものだろうか。


「……さすがキガクレノミコト。お茶が美味しいですこと」

「めぐみに教えられてきたからの。これくらいお茶の子さいさいじゃ」

「そうですかい」


 キガクレノミコトって人(いや、カミサマだけどね?)の話を聞いてなんだか班長さんは顔を膨らませていたが、正直どうでもよかったので話を早く進めて欲しい。


「それで、どこまで話してたっけ」

「霊媒体質のところまででしょうか」

「そうそう、そうだった」


 班長さんはそう言うと、何枚か紙を取り出した。びっしりと文字が書かれていたので一瞬で読むことはできなかったが……それ以前に字が達筆すぎるってのもあるんだけどな。


「巫女は霊体が憑きやすい体で出来ています。……つまり、忌み神などを巫女に取り憑かせることもあったのです。人身封印とも言いますね。今のイタコも、もとは巫女と似たようなことをしていましたが、イタコに関しては今は幽霊にのみ取り憑かれてしまいますね。巫女は幽霊でも妖怪でもカミサマでも取り憑けてしまいますから」

「……つまり?」

「巫女はカミサマを憑かせ、そのまま永遠に封印していく……そういうことが、二年前まで完全にまかり通っていました。この世界では」

「しかし、アイツが全てを変えてしまった」

「アイツ……とは?」

「大沢神治。タイガノミコトが天照主あまてらすのぬしになることを予知した人間のことだ」


 キガクレノミコトは、間髪も入れずに言ったのでおれは頭の処理が追いつかなくなってしまった。つまり……カミサマすら変えられない世界のしくみをアイツが変えちゃったってこと?

 それって……すごいことなんじゃないのか? ……ってか、ならなんであんなところにいるんだろうか。


「……話には続きがありましてね」


 班長さんはさらに一枚、写真を取り出した。

 そこには――異様な光景が映っていた。

 巫女服を着た女性を取り囲むように――紫色の霊体が現出していた。


「これは……!」

「……カミサマの暴走、ですよ」


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