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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
最終章・百鬼夜行編
207/212

カミと異形の緊急会議(後編)


 タイガノミコトの言葉を聞いて、百鬼夜行は笑い出した。


「笑止! タイガノミコトよ、よもやお前の口からそんな言葉が出るとは思いもしなかったぞ! こりゃ依頼を引き受けて正解だったようだな!」

「依頼……だと?」

「そうだ。今回はオオヤシマが依頼……したんだよ。もし交渉が決裂するような事態になれば、消しても構わないってね! これでせいせいするんじゃないかな、オオヤシマの神々は!」


 タイガノミコトはそれを聞いてもなお、動揺などすることは無かった。

 それどころか、どこか落ち着いている様子にも見える。


「成る程……。それさえ聞ければ充分だよ、百鬼夜行」


 その言葉を聞いて、百鬼夜行は漸く気がついた。

 タイガノミコトを中心として煙が出ていること、そしてキガクレノミコトの周りの色が変わっているということに。


「貴様、まさか!」

「死んでもらおう、百鬼夜行! この私の命をかけて!」


 タイガノミコトの身体が光に包まれ――。




 刹那、神社が完全に破壊された。





 神社が破壊されたが、しかし完全に、完膚なきまでに破壊されたわけではなかった。

 キガクレノミコトが居た場所は奇跡的に、いや、必然的に無事だった。タイガノミコトが配慮したのだ。


「タイガノミコト……そこまでする必要なぞ無かったというのに……。お前はまだこの日本に必要な存在であったというのに……。何故……」

「ほんとだよ。まったくもって、死んだ理由が思い付かない」


 声が聞こえた。

 それは紛れもない百鬼夜行の声だった。


「百鬼夜行、貴様……!」

「おっと。あんたはここでタイガノミコトの死を無下にするのかい?」


 それを聞いて彼女の手が止まる。百鬼夜行は溜息を吐いて、話を続けた。


「ほんとうならばあんたも倒さなくてはいけない。それがオオヤシマからの命令だったからな。しかしタイガノミコトは死んだ。キガクレノミコトを守るために、自らの命を犠牲にした。美徳だよ、矜持だよ。それを僕は潰すことなんて……出来るわけがない」


 踵を返し、百鬼夜行は立ち去る。

 キガクレノミコトはただ百鬼夜行を見つめていた。


「助けて……くれるのか?」

「助けるとかどうとかそういう問題ではない。オオヤシマからはこっぴどく叱られるだろうが、退散するよ。タイガノミコトが必死に守ったんだ。ちっとは大事にしろよ」


 そして百鬼夜行は姿を消した。

 キガクレノミコトはその場で腰を下ろし――涙を流した。

 泣いて、泣いて、泣き尽くした。自分でもこれほどまでに涙が出るのかと思わせるほどに、彼女は涙を流した。

 空間を、彼女の泣き声が支配した。



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