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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
最終章・百鬼夜行編
203/212

カミと異形の緊急会議(前編)

本作はこの話の更新をもって、二周年を迎えることができました。

まだまだ終わることがないと思いますが、あと少しです。

どうか最後までお付き合いいただけると幸いです。

「……そういうわけか。それにしても百鬼夜行と思われる妖怪の動きも無くなってしまったし……いったいどういうことだ?」


 ……。

 俺は姉ちゃんに事の顛末だけを告げて、あとはなにも言わなかった。いや、何も言いたくなかった。いや、なんというか。

 もう。

 何も話をしたくなかった。

 姉ちゃんはきっとそんな俺の怠慢に怒っていたに違いない。

 でも、俺は何もしたくなかった。それは事実だ。変え難い事実だったのだ。


「……疲れただろ、リト。もう休め。私ももういろんなことがあったからか、疲れてしまった……。休暇を、本物の休暇をとったほうがいいかもしれないな……」


 言って、姉ちゃんはふらふらと歩き出した。

 俺も、それに引っ張られるように歩き始める。

 なんだかもう、何もしたくなかった。




 出雲大社。

 タイガノミコトと呼ばれるカミは目を瞑って、ただそのときを待っていた。

 ぐちゅり、ぐちゅりと。

 トマトを潰したような音が、空間に響く。

 それは何かが移動している音だった。不快な音ではあったが、耳を塞ぐことはしなかった。相手に敬意を表すためだ。

 ぐちゅり、ぐちゅり。

 そして、その音は――ちょうどタイガノミコトの目の前で止まる。

 タイガノミコトは平伏して、目を開けた。

 そこにいたのは――無そのものだった。

 否、正確に言えばそれは無だけではない。自転車だのルアーだのいろんな動物の手足だの様々なものが、その真ん中にある闇から生えている。

 闇は笑みを浮かべ、言った。


「……まさか、そちらから議論の場を持ち出してくれるとはな、タイガノミコト」


 タイガノミコトは返すように笑みを浮かべ、頭をあげる。


「いえ、私どもとしても、まさか来てくれるとは思いませんでした」

「本当だの。そのへんは『アレ』と比べて聞き分けがいいの」


 隣に座っているおかっぱ頭の少女めいた格好のカミ――キガクレノミコトは言った。

 闇は話を続ける。


「まさか日本神話でも陰に隠れてしまって、一切姿に出てこなかった『伝説のカミ』が一堂に介するとは思いもしませんでした」


 それは卑下ではなく尊敬だった。タイガノミコトとキガクレノミコトは記紀に登場することが非常に少なく、出てきても『何かのカミと同一だった』という考えが殆どだ。

 とどのつまり、この二柱は人間の信仰を得ていないに等しい。しかしながらそれがなくても二柱はカミとして存在していられるのだ。


「……話をしようじゃないか、百鬼夜行」


 闇の正体を、タイガノミコトが明らかにする。

 百鬼夜行は笑顔を崩すことなく、


「正確にはわたしは百鬼夜行ではない。百鬼夜行を統制するそのプログラムといってもいいでしょう。そして私は私自身と百鬼夜行を構成する妖怪とのプロトコルを管理している。……言うならば百鬼夜行はパッケージングされた、ひとつの妖怪と言ってもいいでしょう」

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