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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ホープダイヤモンド・ゲーム編
172/212

ゲームの食事は賛否両論(前編)


 トロングラッシュ城下町のメインストリートを少しばかり歩くと、ヒトミがお勧めする食事処が見えてきた。


「あぁ……どうしてこんなことになっちゃったのかしら……」


 ヒトミは今の状況を嘆いているようにも思えたが、正直俺から言わせれば自業自得のように思える。自分から「だったら奢ってやろうじゃないの!」ばりに言ってきたのだから、今更後悔しても若干遅い。


「……ま、まぁ僕らの言い方も悪かったよ……。軽く、一品だけで済ませるからさ。必ず君たち全員を元の世界に戻すことも保証する」


 信楽さんは直ぐ口に出る人だと思った。まぁ、アカシックレコードを参照出来るのだから、きっと今回の答えも若干の誤差はあるにしても見えているのだろう(ただしその誤差がどれくらいかによるが)。

 そう言うとヒトミは何も言わず、店の中に入った。

 中はカウンターのみとメインストリートに店を出している割には大変小さいお店だった。カウンターの中には厨房があり、店主と思われる女性が何かの肉を切っていた。

 扉を開ける音に気が付き、女性はこちらの方を見た。


「あら、いらっしゃいヒトミ」

「こんばんはリザ。開いてる?」


 リザはヒトミの言葉に頷いた。


「今、ちょうどチャーシューが出来上がったところよ」

「チャーシュー? ということはここは……」

「あらあら、今日は連れが一杯ね」

「成り行きでね、カウンターの奥でいいかな?」

「いいよー」


 どうやらリザとヒトミは親交が深いらしい。たった数回のやり取りで俺達は奥へ通された。

 奥もカウンターかと思いきやテーブル席となっていた。――宴会用か何かだろうか?

 とりあえず俺達は席に腰掛け、水をもらおうと声をかけようとしたが、ヒトミに止められた。

 よく見るとカウンターのところにはこう書かれてあった。


『当店舗は飲料水セルフサービスとなっております。予めご了承下さい。

 店主』


 なるほど、セルフサービスなのか。仕方ない、俺が取ってくるしかないようだ。


「碧さん、少し頼んだ」

「幽霊には持てませんしー……」

「ここはゲームのセカイだからあんたも実体化出来てるでしょうよ! ほら、さっさと行くぞ!」


 こうなったら力業だ。碧さんを強引に水のある場所へと引き摺っていくことにする。悲鳴が聞こえるが、この際どうだっていい。素直に「じゃあしょうがないなぁ……」とでも言って付いてくれば良い話だった訳だからな。たまには、そういうのも慣れてもらわないと困る。


「とりあえず、幾つ水居るっけ?」

「…………知らん」

「はい、ご飯抜きね」

「すいません喋ります。確か、七つです」

「七つかぁ……すんません、トレーあります?」


 俺は奥のカウンターにいるリザに問い掛けた。


「トレー、そこにありませんか?」


 リザが指差す方向を見ると……確かにそこにはトレーが何枚か重ねられていた。


「あぁ、ありました。すいません」

「使い終わったら机のカウンターに置いといてください。あとで適当に回収するんで」


 そう言ってリザは再び奥に入っていった。ここからは遠すぎてあまり感じられないが、仄かに醤油のいい香りから向こう側から少しづつ嗅げるくらいしかない。





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