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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ホープダイヤモンド・ゲーム編
141/212

【第八話】 暇人と言葉と特別任務(前編)

新章『ホープダイヤモンド・ゲーム』編連載開始!


 十月ももう終わりに近いというのに、東京はまだ暑い。そろそろ冬将軍がやってきてもいい頃だと思うんだが、まだ誰かがそれを足止めさせているらしい。


「そりゃ、一週間もドイツに居たんですからそちらの気候に慣れるに決まってるでしょう?」


 と、うちの署長殿が仰っていたので、改めて日本ってのは四季に富んでるんだなぁ、と俺はめぐみさんに淹れてもらった緑茶を飲みながら思うのだった。


「仕事しろや、給料泥棒」

「雷神の雷をビンタと等量にするな!! 死ぬから!!」

「あーはいはい、ところであんた仕事しなさすぎだぜ? ちょっとはめんどくさい仕事でもやったらどうだっていうかやれ」

「上司命令?!」


 確かに茶を飲んでた俺にも何らかの原因があったかもしれない。

 だが。

 だが、俺にも言い訳を言わせてくれ。まず、一昨日までドイツに行って、帰ってきたあともそれ関連の始末書ばかり書かされたのに、『働け』とはどういうことなんだ?!


「見た通りのままで、働いてないように見えるからなんじゃない?」

「リトって見た目がやる気無さそうだからなぁ……」

「日本神話最強のカミサマとやらがそんなこと言ってどーすんだよ!! そういうのって普通フォローしません?!」

「わたし、リーボイスやってないんだけど?」


 リーボイスってのは二百文字以内なら何でも情報を発信できるSNSのことだ。ユーザーをフォローして、その人のリーボイス(言の葉)を見ることが出来るやつで、恐らく美夏さんはそれを勘違いしたんだろう。

 だが……霊体もそれって出来るものなのかね?


「昔にインターネットの掲示板サイトに幽霊がスレッドを立てたって話もあるから、強ち出来るのかもよ?」

「あぁ、あのスレか。あれはたしかIPアドレスが存在しないだかどうだかで……」

「……で、そんな話をしてる程暇って」

「いいじゃん別に!」

「よくありませんが?」


 めぐみさんが真顔でこちらを眺めている。怖いです、やめてください。


「……ただでさえ人が足りないのに使えないとなると……?」

「だ、大丈夫! 俺だって封霊銃の手捌きには絶対的な自信がある!」

「ならばそれを使ったらどうです」


 そう言ってめぐみさんは一枚の紙を取り出した。


「これは?」


 そこに描かれていたのは一枚のゲームソフトだった。若干型は古いが、俺の持ってるやつならば起動出来ると思う。


「これは最近リーボイスを伝達網として中高生の間に広まった、謂わば『呪いのゲーム』と呼ばれるものです」

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