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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ドイツ・猿の手編
129/212

合流の時期は超予想外(後編)


 ソドム・ゴモラは本当に何でも関わっているなぁ。二年前に壊滅こそ駄目だったものの、大打撃を与えたんじゃなかったのだろうか。


「ソドム・ゴモラはカミと人間を融合させようとしたが……失敗に終わり、代わりに得たのがカミの能力を人間に移植することだ」

「それは僕も知ってる。それによりソドム・ゴモラは絶大な力を得た。……けれど、実際に成功したのは数人だっただろう?」


 確か番号付きという、力を認められた人間ってのは四、五人しか居なかったはずだ。二年前の調査資料もなんだかんだで結構読み込んでいたからね、案外解るもんだよ。


「いいや。“全員失敗してる”。あれはカミの能力なんかじゃない」

「……なんだと?」


 それならみずきさんが使うチカラ――あれはどうなるんだろうか。

 よくメカニズムは解らないけど、恐らく物質が帯電している極に合わせて自らを電荷の膜で被っているんだと思う。電荷が全体の表面に付着したものはその中心に一つ電荷が置かれたものに置換が出来る。そのメカニズムを利用して引力と斥力を使っている……はず。本人からは聞いてないけど、かつてめぐみさんがそんなことを言っていた。引力を使うときにはその物体の極とは違う極を、斥力のときには同じ極を……とすれば簡単(?)に操ることは出来る。


「奴らはただカミの能力の、科学的に近似した力を人間に宿したに過ぎない。本物のカミはまだ居たし、最悪なことに居ないカミを作ったりもしていた。……最悪といえば最悪の存在だ」

「科学的に近似?」

「あぁ。例えば天照大神が天岩戸に隠れてしまったとき、太陽も隠れてしまった……なんて逸話は知っているだろう」

「そりゃまぁ」

「あれは科学的に近似すると……科学現象でもないんだが、皆既日食が当てはまる。神話やカミには隠された何らかのメッセージやら科学技術やらが込められていて、それを用いれば科学は格段に進歩するだろう、とある神学者が言った程だ」

「それを……ソドム・ゴモラは成功したって言いたいのか……?」

「敵を擁護するつもりはない。だが、これは事実で間違いないだろう」


 ヴンダーは本当に色々なことを知っている。カミサマだから何でも見えてしまうんだろうか? それこそプライバシーなんて関係のないように。

 ヴンダーの話は続く。


「……恐らく翠名創理もそういう感じでソドム・ゴモラに買われたのだろう。カミの力を完全に、科学的に表現出来れば宗教に革命が起きるかもしれないが」


 宗教に革命が起きる。

 今ヴンダーはそんなことを言った。“奇跡”ってものはカミサマに願い、カミサマが助けてあげようという気分にさえなれば奇跡が起きる……非常に曖昧なものだ。

 しかし、科学的にそれが表現出来てしまえばどうなるだろうか? 少なくとも奇跡を求める人間はそちらに流れることになるだろうし、もともとの宗教を信じていた人間の価値観も変わりかねない。それは宗教によっては死活問題であり、それによって宗教間の戦争、さらには国家間の戦争にまで発展することにもなるだろう。

 戦争の火種ってものは本当に小さいものでも世界を覆い尽くす程のものになってしまう。その根底にあるのは……ヒトのエゴだ。かつて起きた二度の世界大戦も全ては人々の思惑やエゴが絡んだ結果である。即ちそれは……ソドム・ゴモラの宗教科学化によって、第三の世界大戦が起こる可能性もあるということだ。


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