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ルームメイトが幽霊で、座敷童。  作者: 巫 夏希
ドイツ・猿の手編
102/212

巫女と再会と出国経路


 まぁ、カミサマがあんな感じに見えてるのも大体は神降ろしによるもので、もしくはカミサマ自ら降りてくることだがあまりそういう話は耳にしない。例えば十億人以上の信者がいるキリスト教は唯一神ヤハウェによるものだ。だがこれは(名前は若干違ってはいるが)イスラム教とユダヤ教も同じカミサマであるから、神降ろし出来るのはたった一人だけだ。しかしそんなカミサマを神降ろし出来るかといえば……その可能性は殆どゼロに等しい。

 神降ろしってのは運に任せなきゃならない時もあるから運を鍛えるトレーニングをしたりする。あぁ、そういえば俺もやったっけなぁ……。


「お待たせしました」


 そうこうしている内に扉から一組の男女が入ってきた。アドルフさんとリストアだった。


「……ということは?」

「また同じチームだ。よろしくな」

「よろしくお願いします」


 そう言って俺とアドルフさんはがっちり握手した。これから『猿の手』捜索に力を借りる。協力の証だ。


「あぁ、そうだ。それとちょいと手がかりを持ってる人間を見つけたんだ。何でも君達と知り合いらしくてね」


 そう勿体振ってアドルフさんの隣から出てきたのは……一週間前の事件で被害にあった巫女さんだった。

 巫女さんは俺達を見るやいなやこう言った。――祐希、久しぶりですね。

 その口調はこの前と変わらないが何処か物静かで『荘厳』という一言が似合いそうな人となっていた。何だろうな、前はもっと元気があったような気がしたんだが……。


「やっぱりめぐみさんだったんだ」

「めぐみさん?」

「……あなたは初見ですが、祐希と居る所を見ると神事警察の人間ですか?」

「そうそう、瀬谷理斗。私の弟よ。なんと、その身体に天照大神を従えているんだってさ」

「ほう。……にしても私が私で無くなって……どれくらい経ったんでしょう?」

「確か一年ぶりかな? 去年の神迎祭のときだったような気がしたし」

「一年、ですか……」


 もしかして大沢神治が言ってた巫女、とは彼女のことを言うのだろうか。

 俺は少しばかり考えてみたが、直ぐにそれはシャットアウトされた。


「……やはり知り合いだったか。俺も少しだけ気になったんだ」


 会話にアドルフさんが参加する。


「日本の霊体とカミサマに関してのスペシャリストが集まる神事警察はそう滅多なことでメンバーが消えることはない。“一人の人間を除いて”な。神事警察のメンバーでかつ日本のカミサマが集まる出雲大社の巫女……そんな彼女が行方不明になっていた。彼女の名前は」

「――神薙めぐみ。それが私だったのです」


 アドルフさんの言葉にめぐみさんは矢継ぎ早に答えた。


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