4/4
姉狼の秘密 《後編》
「ねぇルゥ。さっきのは何なの?」
安全な場所に避難したところで
姉狼が話し出した。
「姉上の…名前を呼んだ。」
ルゥが言った。
「私の名前…?」
姉狼…いや、ウルルは目をまんまるにして
聞いた。
「父上と母上と私たちが
別れる事になったとき、母上に言われたの。
“弱いウルルをルゥが守ってあげなさい。
あなただけじゃ守れなくなったときは
ウルルの名前を呼びなさい。
驚くほどの力が出るわ。
だけど、それは危険なときだけ。
危険でも何でもないときに言ってしまうと
あなた達は別れることになる。
だからルゥは普段から姉上と呼ぶように
しなさい”ってね。」
言い終わるとルゥはゆっくり口を閉じた。
「母上が…そんな事を…?」
ウルルが哀しげに言った。
「ええ。おっしゃっていたわ。」