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狼は吠える
夜。
一匹の狼が吠えた。
命の大切さを知らない哀しき狼。
その遠吠えは狼同士の
戦いの始まりを意味するものだった。
「貴様、私の姉上に気安く触れるな。」
狼が言った。
その狼の後ろには
気高くキレイな狼がいる。
「よしなさい。ルゥ。あなたは
“命”というものを軽く考えすぎだわ。」
気高い狼は言った。
「姉上は黙っていて。私、この愚かな狼の
喉笛を噛みちぎってやるわ。」
ルゥは不敵な笑みを浮かべた。
グルルルルッ
ルゥの低い唸り声が夜の森に響き渡る。
グルルルルッ
相手の狼も負け時と唸る。
ルゥは高く飛び上がり
相手に襲いかかる。
一瞬だった。
ルゥは静かに地面に降り立ち
相手の狼は倒れた。
「ざまぁみろ」
だった一言、それだけ言った。