12話 戦闘大会決勝戦
アナウンス
「戦闘大会、準々決勝の対戦相手が決まった。
第1戦カイン・グランヴェvsミリア・アルディ。
第2戦ゼファティス・ヴォルvsイリシア・フロスト。
第3戦ルシル・ノクスvsセレディ・アークレン。
第4戦エルヴィ・シルファvsノア・フェレア。
以上だ。全ての試合が終わり次第、準決勝の対戦相手を発表する。みな、健闘を祈る。」
うぉぉぉっ!
決勝トーナメントが始まった。4戦目のノアは、控え室からカインとミリアを見送る。
「ミリア先輩とやるの、いやっす。」
「私は、ノアと当たらなくてホッとしたよ!ま、頑張ろうね!カイン。」
カインは嫌そうな顔をしている。
「2人とも頑張ってください!私なんて、セレディさんですよ?空間属性は厄介なんですから!」
「いやいや、ノアは練習の時点で全員に勝ってたんだから…」
ノアの言葉に、カインが突っ込む。
「とりあえず、頑張ってくるね!見ててよ、ノア!」
「はい!」
カインとミリアは仲良く会場へ向かった。
審判
「よし。揃ったな?では、どちらかが気絶。または、降参を言った時点で試合終了だ。」
カインとミリアは静かに頷く。
「それでは…開始!」
「"ファイアーストーム"!」
「"ストーンウォール"、"ウォーターソード"!」
ミリアは火の嵐で会場全体を燃やす。カインは石の壁で防衛しながら、水の剣でミリアに迫る。
あと5m。
「"サンダーレイン"…」
バチッバチッ!ゴロゴロゴロ、ズザンッ!
ミリアは雷の雨を降らせた。カインは当たらないように避けるが、雷は水の剣に当たり、身体中に電流が流れる。
「うっ…」
ドサッ
カインは気絶。ミリアが勝った。
うおぉぉぉ!
会場が盛り上がる。
「やったー!ミリアさんと戦えるかも…!」
その後も試合は続き、2戦目はゼファティス、3戦目はセレディが勝った。
4戦目、ノアはエルヴィと会場に向かう。
「それでは…開始!」
「"ファイアーアロー"!」
ノアは合図と同時に詠唱する。エルヴィに向かって火の矢が飛んでいくが、エルヴィは立ったままでいる。
5m…4m…
「"テレポート"」
「!」
急に、エルヴィが消えた。ノアが見回すと、後ろから声がした。
「実はね、セレディから空間属性魔法を教えてもらったんだ。木属性だけじゃ、ノアには完敗だからね…」
「すごい!いきなり消えたので驚きましたよ!少し厄介ですね…!」
「あはは…」
エルヴィは照れくさそうにする。
「少し、怪我させてもいいですか?」
「そうなるよね…。いいよ。かすり傷程度ならね!」
「先に謝っときます。ごめんなさい。」
ノアとエルヴィは互いを睨む。
「"ウォーターソード"、"テレポート"…」
ノアはエルヴィの背後に現れる。
「"ツリーウォ"…」
エルヴィが防御する前に、ノアの剣がエルヴィの頬を掠めた。
「…あはは。参りました。」
エルヴィは参ったように笑った。
うぉぉぉ!
会場が盛り上がり、歓声が響く。
「なぜ、すぐに防御しなかったんですか?」
「諦めと、魔力切れ…かな。防御が完全にできていたら、気絶してたよ。」
「なるほど…」
アナウンス
「準決勝は、第1戦ミリア・アルディvsゼファティス、第2戦セレディ・アークレンvsノア・フェレア!」
すぐに準決勝戦の対戦相手が、会場全体に響いた。
「次はセレディ先輩だね、ノア!頑張って!僕よりも空間魔法が厄介だからね。」
「はい!エルヴィさんは、しっかり手当してください。ほんと、ごめんなさい!」
ノアはエルヴィに謝った。2人は決勝戦第1戦を観戦するため、控え室に向かう。控え室にはルカがいた。
「よ!大丈夫か?エルヴィ。」
「ティーチャー・クローネ!大丈夫です。やっぱり、ノアには勝てませんね。」
「いや?ノアも少し驚いてたよ。あとちょっと♪」
審判
「始め!」
ミリアとゼファティスの試合が始まった。2人は共に雷・風属性を使う。だが、ミリアは火属性も使えるため、組み合わせ的にはミリアに勝算がある。
「2人とも、すごいですね。ミリアさんの火属性はあまり見ないので、見れて良かったです。」
「ノアは随分と冷静ですね。」
「イリシアさん…!怪我とかは?」
「大丈夫ですよ。ゼファティスちゃんは、手加減できるいい子ですからね!」
そんな話をしていたら、試合が終わった。自分の魔法で髪が静電気を帯びたゼファティスが、降参した。
「やっぱりですね…」
「イリシアさんは、わかってたんですか?」
「はい。2人の属性を見ればわかりますよ。しかもミリアは、努力家ですからね…。ノア、もう行った方がいいですよ。頑張って!」
「あ、はい!」
ノアは急いで控え室を出る。廊下に出たら、セレディがいた。
「行こうか。ノア。」
「はい…」
セレディは優しく声をかけるが、ノアの目にはセレディの魔力が濃くなるのが見えた。
会場に着いて、2人は向き合う。
審判
「開始!」
試合が始まり、会場の防御魔法がボロボロになるほどの威力の魔法が放たれる。試合は30分以上続いた。(通常は5分程)
「"レインアロー"!」
セレディは、雨の矢を降らせる。
「"サンダーアロー"!」
ノアは、この時を待ったように、ニヤリと微笑んで雷の矢を落とした。降り注ぐ2種類の矢は混じっていった。だが、雷は水の中を通ってセレディに届いた。
「うぐっ…」
セレディが体勢を崩す。ノアはトドメを刺そうとする。
「"サンダーボル"…」
「こ、降参!」
セレディは、魔力切れ寸前であり、勝ち目がなかった。ゆえに、負けを認めた。
「やった!ミリアさんと戦えます♡」
「強かった〜。最後の魔法を食らってたら、確実に死んでたな…」
「え!それは嫌です!撃たなくて良かった〜!」
「食らわなくて良かった〜」
アナウンス
「決勝戦ミリア・アルディvsノア・フェレア!」
「頑張れよ、ノア!ミリア!」
セレディの視線の先には、ミリアがいた。
「「はい!」」
審判
「セレディは場内から出て、観戦してくれ。ミリア、ノア。準備はいいか?」
「ミリアさん、絶対勝ちますからね!」
「先輩の意地、見せてあげるよ!」
審判
「よし。では…開始!」
試合が始まる。セレディは、控え室に向かった。
「お疲れ様。セレディは怪我ない?」
「大丈夫だよ。ありがと、エルヴィ。」
「2人とも、すごいですわね…」
場内を見ると、とんでもなく大きな"火の嵐"と"竜巻"が起きていた。
「あれ、何よ!?」
「ミリア先輩、まだ魔力残ってたんだな…」
レオンハートとカインがミリアのすごさに驚く。
「ええ。でも、ノアだって多くの魔力を使ったのに、あの威力を保っています。おかしいですよね…」
「ノアは規格外ですのよ?あのくらい、常識の範囲内なんですわ。きっと…」
イリシアとゼファティスは、ノアの魔力量に驚いていた。
「まあ、2人ともすごいよね…」
「はい…」
エルヴィとセレディが椅子に座る。
場内では、火の矢が飛び、氷の爆発が起きていた。
「"サンダーソード"!」
(魔力が底を尽きそう…)
ミリアは雷の剣を握り、ノアに向かって走り出す。
「"ブラックホール"…!」
(ミリアさんに合わせるのは、限界だ…怪我させてしまう)
ミリアの剣を消す。
「ノア…卑怯で、ごめんね…」
「?…痛っ!」
急に、風がノアを切りつける。ノアが腹を抱える。
「ごめん…でも、全力を出さないと…。"ウィンドスラッ"…」
「"フレアストーム"…」
ボワァァッ!
「!」
いきなり、会場全体が青い炎に包まれる。ミリアは咄嗟に、後ろに下がった。
「あはは…」
ノアが笑いながら顔を上げる。
「簡単に勝たせてはくれないよね…」
「はい!これが、私の全力です!"ダークサンダー"!」
ただの雷ではない。闇属性も加わった、黒い雷がミリアに向かっていく。6m、5m…
「"クリア"」
急に、青い炎と黒い雷が消えていく。ミリアが声の方を見る。
「ティーチャー・クローネ…」
「ミリアもノアも、大丈夫?」
ルンルンで場内に入ってきたルカが言う。
「この試合、ノアの勝ちー!」
会場には、「なぜだ!」「止めんなよ!」などの罵声が飛び交う。
「はいはい、終わり!黙らないと、ダンジョン研修の内容を鬼畜設定にしちゃうぞ?」
ルカの一言で静かになる。
「うんうん!静かが1番!ノア、ミリア。戻るよ!」
「「はい…」」
ルカは怒っていた。表には出さないが、魔力濃度が高まり、学院生たちは威圧を感じ取る。
控え室に戻り、ノアとミリアは並んで立たされた。ルカは腰に手を当てて、表情が暗くなっている。
「ミリア、ノア、言うことは?」
「「防御魔法をボロボロにして、ごめんなさい!」」
「そうだよねぇ?あれを張るのに3日かかるんだよ?わかってんの?」
「「気をつけます…」」
「はぁ。もう、ノアは戦闘大会出禁ね。」
「え…」
ノアは、魔法の威力が規定範囲外と判断された。
「ミリアも!あのまま食らってたら、死んでたんだよ?わかる?」
「はい…。すみません…。」
「はぁ。ま、いいよ。頑張ってね、2人とも。」
ルカは2人の頭を撫でる。
「ノア、おっめでと〜!」
「うわっ!」
レオンハートが抱きつく。
「頑張ったね。ミリア。」
「はい、エルヴィ先輩。負けちゃいましたけど…」
「僕より長い時間、戦っていたんだ。すごいよ!」
「セレディ先輩…!」
アナウンス
「ただいまより、表彰式を行います。全員、場内へ降りてきてください。」
場内に戻ると、すぐに表彰式が始まった。ノアは1位だったため、トロフィーが贈られた。
アナウンス
「では、最後に大勇者の息子。剣聖のヴァン・レイディア様より、お言葉をいただきます。」
前に出てきたのは、この前セリスの部屋から出てきた男だった。
「戦闘大会、実に見事であった。私は剣を振ることしか出来ないが、皆が魔法を練習するように、私は剣を練習する。魔法と剣は、似ている所があると感じた。」
ぎゃぅぅぅ!
オムケルが低い声で唸る。
「ダメです。いい子にしてるって、約束ですよね?オムケル?」
ごめんなさい…
(ヴァンさんに対してよく唸るけど、なんでだろ?セリスさんを守りたいのかな?)
表彰式を終え、ノアたちは全員でセリスの控え室に行った。
「ノア、おめでとう!エースたちも、よく頑張ったね!」
一同「ありがとうございます!」
「早速、打ち上げ行こうか!」
それから、オムケルを研究室に帰らせる。
「今日はいい子でした!帰ってきたら、いっぱいおやつあげます!ディバインも、いい子だったのであげますよ!」
やったー!
ヒヒーンッ!
郷土料理専門店でルカとヴァルロスと落ち合い、打ち上げが始まった。
「それでは!みんな、戦闘大会お疲れ様でした〜。かんぱーいっ!」
全員「かんぱーいっ!!」
これで5回目の乾杯。セリスは乾杯が大好きらしい。
「ヴァルぅ?お前、酒足りねぇだろぉ?飲め〜!」
「ルカ、それはドレッシングだ!」
ルカがヴァルロスに絡み、
「お前は火属性しか使わないから、負けたんだ!」
「あんただって、土属性が使えるのに水属性にこだわるじゃない!」
レオンハートとカインが揉め、
「空間属性はやっぱり、魔力使用量が大き過ぎますね…」
「ああ。もっと魔法式を削るか…」
エルヴィとセレディは魔法の話をしだした。
もう3時間ほどこんな感じで、それぞれの世界に没頭している。
「みんな、楽しんでますね!セリス様はどうです?」
「楽しいよ!久しぶりの休暇が、こんなに充実するとは思わなかったよ!」
「そう言ってもらえて良かったです!ね?ノア…」
ノアは、すやすやと眠っていた。
「今日は、たくさん魔力使ったからね〜。疲れるよね!」
「そうですよね。私たちは、もう帰りますね!」
「いいのかい?」
「はい!ノアとお喋りしたかったんですよ。それも出来たし、私は大満足です!」
「そう?じゃ、お開きにしようか!この状態だと、私1人でまとめられない…」
「そうですね…」
「みんな!もうお開きにしよう!ノアも寝ちゃったし〜」
ノアが寝たと聞いて、エースたちがすごいスピードでノアの元に行った。
「すー…すー…」
エースたち「かわいいぃ!うっ!」
エースたちはノアの寝顔を見ると、倒れた。驚いたセリスが駆け寄る。
「大丈夫?どうしたの?」
「ノアって、可愛いんです…」
「ええ。永遠の7歳でいてほしいですわ…」
そんな茶番も終わらせて、帰路に着く。同時に花火が上がった。
「綺麗だよね〜!いつも思ってるけどさ。」
「ノアは、よく花火見てたらしいですよ。」
「へ〜。そんな見れる物じゃないのに…。ノアの住んでた町は、花火師がいたのかな?」
「いえ。自分で作ったらしいです。」
「へ〜。自分でか〜…。自分で?」
セリスが驚く。
「魔法が失敗すると見れるって、自慢してました。あはは!」
「すごいな!どんな魔法を失敗したのやら…」
ノアの部屋に着き、ミリアがノアをベッドに寝かせる。
「おやすみ。ノア。」
みんな「おやすみ…!」
全員は小さい声で言った。
翌日、学院内と地上の新聞の1面には、
"最年少で戦闘大会を優勝した、謎の7歳!!"
という見出しが書かれた。
最後まで読んでいただきありがとうございます
13話は3月20日に出す予定です




