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10話 建国祭

〜3日後〈魔法祭典1日目〉〜

アナウンス

「今日はルミスティア建国祭!1週間続く祭りには、大規模キャラバン!魔法祭典!パレード!その他、様々な催し!学院生諸君、良い1週間を!」


 学院の建物だけでなく、地下空間全土に響いたアナウンスと同時に、花火が上がる。


アナウンス

「学院生諸君は、まず、開催の儀式を行う!至急、大広間へ!」



 大広間には、ノアを含め5000人もの学院生がいた。


「ミリアさん、ティーチャー・クローネはなぜ、学院長の隣に座っているんですか?」


 ノアはルカを指さし、聞く。


「ノアからしたら、おかしいよねぇ。でも、あれは通常なんだよ。ルカがあのポジションに座れる謎は学院の七不思議…!ま、今は建国祭を楽しも!」

「なるほど。にしても、貴族の方々が少ない気がします。王様と騎士様1人しかいませんよ?」

 ステージには、王と大臣以外の貴族の姿が見当たらない。

「あはは!騎士様か!あれはうちの国の勇者様だよ!」

「え…?」

「確かに、剣を持ってるけど魔法使い。剣は少しだけできるらしいから、近接戦もできるんだよ〜。マスクをしてるけど、とってもかっこいいって噂!」

「勇者…様。私、とっても失礼な事を言っちゃいました…」

「大丈夫だよ!まあ、先輩みたいなものだし。あと、貴族はみんな、保護者席。」

 ミリアが指さす方に、地味な正装をしてもオーラが隠しきれない人が、多々いる。

「あぁ…」


アナウンス

「只今より、建国祭開催の儀式を始めます。では、各学年の首席は、ステージへ。」

 エースたちは立ち上がり、カインから順にステージに上がる。同時に、ステージに大きな金魚鉢が現れる。中は赤い水で満たされていた。教師が、エースたちを案内する。


「では、囲んで立って。手を金魚鉢に向けて。」


 指示通り、エースたちは鉢に向かって、手のひらを向ける。すると、金魚鉢の赤い水から8本の針が伸び、エースたちの手のひらに軽く刺す。


「え?」


 ノアが驚く。エースたちは、流れる血を金魚鉢の中に8滴落とした。鉢を満たす赤い水は、血だった。


アナウンス

「これにて、開催の儀式は終わります。次に、我が国、116代目の王"アーサー・ルミスティア"様より、お言葉です。」


 王が玉座から立ち上がり、ステージ前方へ来る。優しそうな笑顔で話し出す。


「学院生諸君、5000年以上続く建国祭が、今年も開催できることがとても喜ばしい。諸君らには、ぜひ、魔法祭典で日々の学びを発揮して欲しい。魔法祭典には、私を含めた貴族、ここにいる勇者が見に来る。そして、15年前、大魔王を討伐した"大勇者の息子"も来る。健闘を祈る。」


 王が話し終えて、玉座に戻る。それと同時に、エースたちもステージを降りて、元いた場所に戻った。


アナウンス

「これにて、開催の儀式を終える。良い1週間を。」


 ぞろぞろと学院生たちが大広間を飛び出して、キャラバンへ向かう。


「ミリアさん、痛くないんですか?」

「大丈夫だよ。ありがとう。」

「なら、良かったです。もしかして、あの金魚鉢には歴代の首席の血が入っているんですか?」

「そうだよ、ノア!」


 後ろから声が聞こえて、ノアとミリアは振り返る。他のエースたちがいた。声をかけてきたのは、レオンハートだった。


「やっぱりですか。それで、皆さんの手は大丈夫ですか?」

エースたち「大丈夫!」

「それより、キャラバン行こ!魔法祭典の戦闘大会、ノアも出るでしょ?準備〜!」


 レオンハートがノリノリで言う。


「まぁ、3日後だし、今日は準備じゃなくてショッピングを楽しもう!ね?みんな。」

一同「はーい!」


 セレディが全員をまとめる。

 全員でキャラバンに行く。前回来た時と同様、入口は人が密集していた。


「相変わらずですね…」

「まあ、こればっかりは仕方ないですわ。」

「行こうぜ!」


 全員で歩き出す。すると、なぜか道ができていく。


「あの…すごくスムーズに通れるんですが…?」

「 8人も首席が揃ってるんだよ?そりゃ、驚いちゃうよね〜!」


 レオンハートによると、エースたちは今まで1人での行動が多かったが、研究で行動をともにすることが増えた。そのことが学院生たちの間で衝撃だったという。

 前回よりも快適にショッピングをし、夜になった。


「みんなでご飯食べて帰ろうぜ!」

一同「食べよー!」


 この前、ミリアとノアが来た"ルミスティアの郷土料理専門店"に行く。


「よっ!どうだった?」

一同「ティーチャー・クローネ?!」


 店の前でルカとヴァルロス、フードを被った人物がいる。


「一緒に食おうぜ!な?ヴァル。」

「ああ。私はいいが…よろしいでしょうか?」

「私も構わない。」

「よし!」


 ルカが誘うと、ノアたちは嫌な顔をした。


「うわ、ひど。あからさまに嫌な顔するじゃん。奢るよ?」


 ルカが言うと、ノアたちは目を輝かせた。


「わかりやすーい!まぁ、いいや。行こ。」


 店に入って席につくと、ルカがすぐに酒とアクアスパゲッティを人数分頼んだ。


「また、お酒を頼んだんですか?ティーチャー・クローネ。控えたほうがいいですよ?」


 エルヴィが言っても、ルカは届いた酒を一気に飲み干す。


「いいんだぁ!今日は頑張ったんだぁ!あははっ!」

一同「はぁ…」


 ルカは1杯で酔っ払ってしまい、その場にいた全員がため息をつく。すると、フードを被っていた人物がフードを取った。


「ほんと、この人は昔から何も変わらないな。もっと控えてもらわないと。」


 そう言ったのは、フードを取った勇者だった。


一同「あ、あ、あ!」

「ん?あぁ。すまない。私は、この国で勇者をやっている"セリス・グラン"だ。よろしく。」


 まさか、国の勇者と食事をしているとは思っていなかったノアたちは、固まった。


「あ、勇者様だったんですね…。もしかして、学院生時代の行きつけでしたか?」

「うん!勇者を始めてから7年、ずっと食べたいと思っていたんだ。でも、忙しいから食べられなくて…。」


 セレディが聞くと、優しく話す勇者。


「それは、良かったですね…」

「ああ!とっても嬉しい!」

一同(うっ…!笑顔が…眩しい…!)


 それからしばらく、セリスも一緒に話をしていると、全員分のアクアスパゲッティが届き、みんな食べ始めた。

 セリスは元々、学院の首席であり、ちょうど勇者の引退年と卒業が重なったため、勇者に抜擢されたらしい。


「勇者しない?って聞かれた時、驚いたよ!王様が直接家に来るんだもん!」

「怖くなかったんですか?」

「最初は怖かったよ。魔王に殺されたらどうしよう、一緒に戦う仲間が死んだらどうしようってね。でも、国を守れるのは君だけだって言われたら、断れないよねぇ?」

「確かに…」


 ノアはセリスの話を夢中で聞いた。すると、外から

パーンッ!ヒューッ、パーンッ!

 花火が上がる音がした。21時らしい。


「学院生はみんな、この花火を見ながら寮に帰らなきゃいけないんだよね〜。懐かしいなぁ。」

「そうなんですか?私、学院生じゃないので、そういうことは知らないんです。」

「学院生じゃないの?じゃあ、何者なんだい?」

「研究者ですね。学院と共同研究をしています。"無詠唱で魔法を放つ原理"について。」


 セリスは研究テーマを聞いて、目を輝かせる。


「面白そう!ぜひ、話を聞かせてくれないかい?」

「まだ、仮説段階ですが…。それでもよろしければ。」

「いいよ!興味深い…!」


 話していると、ヴァルロスが声をかける。


「みんな、もう帰る時間だ。ここはルカの奢りだから、早く帰りなさい。」

一同「ティーチャー・クローネ、ご馳走様です!」


 全員で店を出る。ヴァルロスは相変わらず、ルカにだる絡みされていた。


「あらら。2人は昔から変わらないなぁ。あ!みんなさ、研究してるんでしょ?話を聞かせておくれよ!」

「はい!研究室で話しましょ!」

一同「レッツゴー!」


 レオンハートの掛け声で、ノアたちは学院へと帰っていった。

 学院に着くと、ノアたちは急いで研究室に向かった。

バタンッ


「ちょっと散らかってますが、どうぞ。」

「あ…ユニコーンとドラゴン…?」


 セリスは研究室の中央にいた、ユニコーンの"ディバイン"とドラゴンの"オムケル"を見て驚いた。


「ノアたちも、大変…なんだね…」

「あはは…。色々あってですね…」


 それから、この半年間の頑張りと研究の仮説を熱く語り、気づけば2時間経っていた。


「いやぁ、すごいね!まだ7歳で、ここまで考えられるとは…」

エースたち「うちのノアは、すごいんです!」

「はは…。君たちの肩入れっぷりがわかるよ。」


 ノアはエースたちに褒められたことで、顔を赤くした。


「まぁ、ドラゴンは大変だろう。この1週間で気合いを入れ直して、頑張って!私も、3日後の魔法祭典の日以外はお休みなんだ〜!」

「休暇ですか。良かったですね!あ!なら、ノアと戦闘大会の練習。模擬戦をしていただけませんか?」


 ミリアが言い出す。


「え…。ミリアさん!休暇なら、しっかりと休んでもらいましょうよ!私の相手なら、ミリアさんたちで十分ですって!」

「あのねぇ、ノア。私達も、あれが限界なの!ノアはまだ全然本気じゃないでしょ?」

「いいえ!怪我されたら困るので、あれが皆さんへの本気なんです!」


エースたち(やっぱり手加減されてたんだぁ)


 エースたちは、ノアの優しさにほっこりしつつ、自分の未熟さを思い知った。


(現首席が手加減されるなんて。ノア…興味深い…!)

「なるほど!なら、私が見てあげよう!いいね?ノア。」

「えっ…。なんでですかぁ!」


 セリスの申し出により、2日目の予定は"ノアvsセリス"の模擬戦に決定した。0時の鐘が鳴り、ノアたちはそれぞれの部屋に戻った。セリスはノアの部屋に泊まることになった。

 ノアは部屋に着いて、セリスに聞く。


「あの、なんで模擬戦を引き受けてくれたんですか?」

「うーん…まぁ、興味?現首席全員があんなに言うんだよ?絶対に面白いじゃん?」

「私、モルモットか、なんかだと思われてます?勇者様と戦うなんて、怖いです!」

「えー…。じゃあ!」


 セリスは持っていたバッグから、古い文献を取り出した。


「それは、なんですか?」

「ふふーん!君たちに有益な情報だよ!真偽は定かではないが、ドラゴンの事が書かれている。明日の模擬戦で、君の本気で私に挑むのなら、褒美として、この文献をあげよう!どうだ?」

「ほ、本当ですか?とても欲しいです!絶対、手を抜きません!」

「いいぞう!その調子だ!さて、もう遅い。寝ようか!」

「はい!おやすみなさい!」

「おやすみ〜。」

(ウキウキしてるノア、可愛いなぁ〜)


 ニヤニヤしているセリスを無視して、ノアはワクワク気分で眠りについた。



〜翌日〈魔法祭典2日目〉〜

ボォンッ!シュッ!シュッ!


「はぁはぁはぁ…。くっ…!」

「終わりです。」

エースたち「!」


 崩壊した大練習場には、ノアとセリスがいた。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

11話は、3月14日に出す予定です。

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