残光
初投稿です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
パーンッ
戦いが終わり、ノアの目の前でレイが片膝をつく。真っ直ぐノアを見つめ、微笑んで言う。
「ずっと君が好きだった。一目見たときからずっと。君を愛してる。」涙が溢れるノアの目はレイだけを映し、眩しい笑顔で言う。
「私も、あなたが好き。もっと私といてください。」ノアは膝をつくレイを強く抱く。
「ファイアボールッ!」
詠唱とともに小さな火の玉が大きい岩に向かって飛ばされる。小さいながら、岩に軽くヒビを入れる程の威力を持っていた。
「おお。すごい!小さいから今日は本調子ではないのかと思ったのに。」
ロアンがノアを褒める。
「ファイアボールを威力はそのまま、サイズを小さくすることで、余計な火の部分の魔力を節約できるし、スピードも上がると思いました。」
ノアが照れながら説明をする。
「そこまで考えられるとなると、もう私が教えられる域を超えてしまっていると思うのだが…。まぁ、今日はこのくらいにして家に帰ろうか。そろそろ夕暮れだし、腹が減っただろう?」
ロアンはそう言って手を差し伸べる。
「はいっ!今日の指導、ありがとうございます!」
ノアは嬉しそうに出された手を握り、2人は帰路に着く。
家に着くと、クララが食事の準備をして待っていた。
「あら、2人とも丁度いい時に帰ってきましたね。さぁ、ご飯にしましょう。」
3人は今日の魔法の事やその改善点、応用など、魔法の話を沢山した。ノアはロアンとクララに拾われた。2人は義理の両親であるが、ノアを実の子どものように愛している。2人は魔法を使うことに長けていて、教えてくれる。ノアは、そんな2人と2人の魔法が大好きである。
「なるほど!そのように風と火を合わせれば大規模な魔法になるのですね!」
ノアは2人の影響でまだ10歳だが、宮廷魔法使い並の魔法の知識を持ち、発想力を存分に活かした新しい魔法も使えるようになっていた。
「でも、そのような魔法は決して人前では使ってはいけませんよ。魔物を狩る時や人を助ける時だけですからね。」
クララはノアに釘を打つ。続けてロアンも。
「そうだ。ノア程の力は良いようにも、悪いようにも使える。見せつけたりするんじゃないぞ?自慢したくても我慢するんだ。過信したり、奢りを持っては行けないよ。」
「はいっ!自慢しているのは時間の無駄だと思っています。そんなことよりも研究して、もっと魔力節約できるようにしないとです。」
ノアのその言葉に2人は少し困る。
(ここまでくると我々の手には負えん。教師をつけた方が良いと思うが…)
ロアンは少し悩む。頭を掻来ながら言う。
「実はな、昼間も言った通りノアは私たちの教えられる域を超えてしまっている。だから、教師をつけようと思っているのだよ。手紙もこの前出して、了承は得ている。」
ノアは固まり、声にならない悲鳴を上げていた。
(何故?私は1人でじっくりと研究をしてゆっくり上達するのでもいいと思っているのに、知らない人に教わるくらいなら家出したい…!)
ここまでの思考を0.1秒で行い、ノアは焦点が定まらない中言う。
「知らない人に会うのは、とても怖いです…。何故ですか…。ワタシガヒトミシリナノシッテマスヨネ?」
「わかっていますよ。なので、ギリギリ知っている人をちゃんと選んだんです。ルカを覚えていますか?少し賑やかですが魔法の腕は確かでしょう?大丈夫ですよ。」
名前を聞いて、ノアの焦点が少し定まる。
(ルカさんなら、2回程あったことがあるから何とかなりそう。でも、問題はあの遠いとこにいるあの人が、こっちに来るのか私があっちに行くのか。さすがに1人でルカさんの相手はきつい!24時間?無理!絶対に人見知り死する。)
こんな事を考えていたら2人が何か企んでいる時の笑みを向けている。
「そうだ。知っている人だから安心できるだろうし、ここにずっといるのはさすがにダメだよ。もっと人と関わり、魔法以外の多くを学ばなければね~。」
「つ、つまり、私がルカさんの元に移り住む形になる、と?」
「そうですよ。新しい地で新しいものを見て、新たな視点を持つのです!その方がもっと高度な魔法が生み出せるかもしれませんよ?ね?」
「うん。そうだ。一応、明日の早朝にはルカがここに来てくれる。ここでどのくらいの出来なのか見て、最後に一緒に昼食を食べて、ノアはルカと一緒にルカの家に向かうんだよ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!ティオはどうするんですか?今度来た時には一緒に魔物狩りピクニックするって約束だったんですよ?幼馴染との約束を破るなんてできませんっ!その前に、私に相談はなかったのですか?」
クララの顔が少し怖くなる。
「魔物狩りピクニックですって?まだ10歳なのになんでそんな危ないことしに行くのですか?」
ロアンの顔に少し焦りが出る。体が小さくなっていく。
「あなたですか?提案したのは?もしかして、ノアなら大丈夫。なんて思っていませんよねぇ?ロアン?」
ロアンがノアに助けを求める視線を送る。だが、実際に提案したのはロアンであったため、ノアは何も言わない。
「そ、そうだ!私だが…。だが!ノアも結構ノリノリであったぞ!私も着いて行こうとは思っていた!合法だ!そ、そんなことより、ルカが来る話だろう?」
(話逸らしやがった…!ノリノリってなんだ!ティオと2人で頑張れと言っていたのに!)
「そうね。ティオには、私たちから説明しておきます。あの子なら大丈夫ですよ。あと、相談しなかったのは、相談したら絶対に行かないと言って聞かないでしょう?なので、ルカに先に話をしたら快く受けてくれると言うので、私たちで決めてしまったのです。決まったことですからね。ちゃんと5年程学んで魔法を極めて来なさい。」
「ご、5年ですか?初耳です。」
「…。今言いました。」
こうなったクララは止めることができない。ノアは受け入れるしかない。
「わかりました。早めに極めてまいります。」
「ええ。頑張ってください。では、もう遅いですし、ノアはお風呂にしてください。私はロアンとピクニックについて詳しく聞かなければいけませんからね。」
ロアンの目が涙目になる。逃げ場のない状況を見たノアはクララをこの世で1番怒らせてはいけないと脳に刻んだ。
風呂が終わり、ノアは離れの風呂小屋から出た。その時、家の方から大きな音と悲鳴が聞こえた。走って家に向かうと黒ずくめの2人が家に火を放とうとしていた。家の入口にはロアンとクララが倒れている。
「ロアン!クララ!」
咄嗟に名前を呼ぶが反応はない。それと同時に黒ずくめの2人がこちらを向く。1人は剣を持って走って迫る。
「ウィンドシールド!」
反射でウィンドシールドをはり、攻撃を防ぐ。もう1人の黒ずくめが手を向ける。すると、ノアの足元が土で固定される。
(無詠唱?:ウィンドをする余裕はない。得意な魔法で・・・!)
「ファイアボールッ!」
2つの火の玉の速さに対して黒ずくめの剣士と魔法使いは反応できず、命中した。威力の調整をしていなかったノアは魔力切れになり、フラフラ歩くのが精一杯だった。ロアンとクララの元に行くが既に脈は止まってしまっていた。悲しみと知らない者を殺してしまった罪悪感で頭が真っ白になる。
少しして、倒した2人の死体が黒いモヤになっていく。
『魔王や、魔王の使いは死んだら跡形もなく消えてしまうんですよ。黒いモヤになって。』
クララが言っていたことを思い出す。
「あれは、魔王の使いですか?何のために?なんで私の2人を殺したんですか?なんでえ?」
目から涙が溢れる。ノアだけが残されるのは2度目だ。だからこそ、育ててくれた人が殺されるのは辛かった。
(魔王の使いということは、意図的にこうなった。殺されたんだ。2度もこうして私の大切な人を殺したんだ…!絶対に、魔王の使いを、魔王を殺してる…!)
そう思った瞬間。
「ヒーリング」
声がして気絶した。
「2人が死んでしまうなんて…。新しい魔法を見てもらおうと思っておったのに。安らかにお眠り。この子は私が責任を持って預かる。」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




