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無職のおっさん、幼女にTSして番外編  作者: 芥部


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1/4

番外編1 それぞれの休息


「そういえばさー、星間司法庁っつったらエリートじゃん? やっぱ勉強とか仕事好きでそうなったの?」


 田中ハルカ……本名:ターナ・カハールカが突如清野や吉田、四方に話しかける。

 カハールカは司法取引の結果、星間司法庁のスパイ……つまり、準職員ということで待遇が決まり、一時の安堵を得たところだった。


 外宇宙で犯罪者になったとか言ったら親戚一同に泣かれるだろうが、準がついてても星間司法庁の職員ならば箔が付く。

 社長のヴェレルは気に食わないクソジジイだと思っているが、このコネクションを作ってくれたことだけには感謝したい。


 カハールカの問に三人は思い思いに答える。


「そうですかね? 普通に仕事が好きってだけですよ」

 と吉田(本名:ヨシュア・メレク)は答え


「僕もそうですね、たまたま受かっただけです。仕事、やりがいありますし良かったですけど」

 と清野(本名:セーレ・エンゲル)は答え


「私は立場上流石に落ちるわけにいかなかったので勉強しましたけど、仕事は普通に好きですよ?」

 と四方(本名:ジュスティーヌ・ド・スフォー)は答えた。


(勉強嫌いで仕事も嫌いな私には眩しいっすね……)

 勉強嫌いでゲーム大好き、仕事は微妙なカハールカは眩しい目で彼らを見ている。


「あたしは休みのときってゲームして遊んだりしてんだけど、上級公務員の人ってこんな辺境の星で、なにして休日過ごしてるの?」


 そう、ずっと気になっていた。上級公務員になるような人間の余暇というものが。


 テオネリアでは、実はゲームなどの娯楽はあまり好まれない。

 寿命が長い人間ばかりになってしまったせいなのか、穏やかに楽しめるものを好み、心身に強い影響を及ぼすようなものを避ける傾向にある。


 飲酒も避けられるし、喫煙というものは2000年前に公的には滅びた。

 そして、犯罪者ほどそういう嗜好品を好む傾向にある。


 しかし、まだ100歳にもならないカハールカにはその穏やかな生活はやや物足りなかった。


 刺激を求めて見つけたのがゲームだった。

 だいたいどのジャンルも好きだったがテオネリアでは好まれない対人ゲー厶がやりたい、そう思ってコツコツと個人制作していた時に誘われたのがヴェレル・ソフトウェアで、そこから更に転属した先がテオレア・デジタルエンターテインメントだった。


 内務庁経由であり、しかも外宇宙でゲームが盛況な星での勤務。

 その好条件に目がくらんだ結果が今である。


「休みですか、私は法律や判例の本を読んだりトレーニングですね。やはり体力が資本ですからね」


  これ以上ないほどの優等生的な返事を返してきたのはスフォーだった。


「僕も似たようなもんですねえ。あとはこの星の固有生物の調査なんかもしてますよ」


 セーレの返事も優等生的だ。

(やっぱ魂まで優等生じゃないと務まらない場所なんかねえ)

 とカハールカはしんみり己の身との落差を感じていたが、ヨシュアだけは様子が違っていた。


「あ、私休日は遊園地に行ったりしてますよ!」

「意外っすね!?」

「うふふ、ほら。遊園地の救護室ってあるでしょう? あそこでアルバイトをしてるんです」

「えっ?! でもバイト代要らないくらい稼いでるっすよね?」


 星間司法庁の給料は、末端でもテオネリア内務庁勤務のカハールカの年収と比べても倍以上違うはずだし、上級公務員ともなれば数倍の差になるはずだ。

 アルバイトなどで小銭を稼ぐ必要はない。


「違いますよ、ほら、土日祝日は休みたい看護師さんも多いからたまにお手伝いに行ってるんですよ。現地住民とのコミュニケーションなんかも大事ですし」


(あー、やっぱりこのヨシュアさんも心清らかなボランティア精神溢れる人なんすかねえ)


「何より、いろんな悲鳴が聞けて良いんですよ、遊園地は……」

「悲鳴」


 カハールカのツッコミを意に介さずヨシュアがしみじみと語る。


「ほら、まずはジェットコースターで泣き叫けぶ子どもとか。お化け屋敷で絶叫して倒れる青年とか。お母さんとはぐれて泣き叫ぶ園児とか、公開プロポーズで振られて号泣してる男の人とか、とにかく面白いんですよ、人の感情がむき出しになってて!」

「へ、へえ……すごいっすね」


 ヨシュアは笑顔だった。ヨシュアは更に語る。


「あとはアルバイトで小児科にお手伝いに行ったりしますよ。これから健康になっていく子どもたちが注射に泣き叫ぶのを聞くと、私も心まで健康になりそうなそんな気がするんですよね……!」

「…………ボ、ボランティアみたいで偉いっすね」


 カハールカも割と人の叫び声は好きなタイプだ。しかし、ヨシュアは更にその上を行っている。


「あとオタクの人の集まりみるの好きなんですよ! すぐ尊死するし、なんかあると絶叫するし、ネタバレしたら悲鳴を上げるんです、楽しくって……!」


 ヨシュアは穏やかに微笑む。


「本星って静かじゃないですか、だからなおさら、こういう若い星ならではのアナーキーな騒々しさが、すごく面白いんですよね」


 解らないでもない、解らないでもないが、わかってはいけない気がする。


「あと、たまに看護師さんありがとう! ってお礼を言われるのも面白いですね。普段はほら、どうしようもないクズどもの泣き言とか、うめき声とか、そんなんばっかりですし。そう言う健康な悲鳴も聞かないと、心の健康は得られないんですよ!」

「そ、そんなもんなんすねえ……」


 ヨシュアの笑顔に、カハールカはやや恐怖を感じていた。絶対に怒らせないようにしようと心に誓う。


「そうよねえ……職務とはいえ色々やることもあるし。ボランティアで徳を積んだりして心の平穏を保つのも悪くないかも知れないわね。ヨシュアのマネしてみようかしら……」


「僕も犯罪者相手でもやっぱ心に来ますもんねえ、その場で射殺する系のやつとか、尋問で相手の口を割らせるときとか。僕も何か別のことしてみようかなあ」


 スフォーとセーレもしみじみと語る。

 職務の重さと義務、それと金銭。

 確かにもらえる金銭は多いのかも知れないが、責任よりも重いと言えるのだろうか。

 そして尋問。どんなことをするのか想像もつかない。

 ただ、法に則って法の範囲でできることなら何でもするのが上級公務員の生き様だ。



 カハールカは思った。正職員にはなりたくないな、と。

 彼女は日々ゲームをして、楽しく残りの余生を生きていきたいと思っている。地球にいればそれが叶うと思っていたのだが……準職員になってしまった。


 もしかすると、しばらく落ち着く日々は戻ってこないのかも知れない。


(ま、忙しいのも今のうちだけだろうしエンジョイ勢の心で勤務しよ!)


 カハールカに、ほぼ拒否のできない正職員としての配置転換の辞令が下るのは、あと数ヶ月後のことである。




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祝10000PVと祝7200PVと応援数500と72話と100話を記念して書いたやつです


72はキリのいい数字です。


それはさておき、番外編は不定期更新ですがやりたいことがあるので連続で更新する日もあるかも知れません

よろしければブックマークなどしてお待ち下さい!

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