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こんなことがありました。  作者: 金子よしふみ
第五章 始まってしまいました

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梅雨らしく

 週明けは雨で始まった。梅雨らしさを醸し出すには十分だった。

 梅雨の中休みとなっていた晴れ間の続く日々が休憩を取ったのだろう。 

 雨音は眠りを誘うような穏やかなものでなく、心拍数が速まった稲光は教室内に短い悲鳴を起こし、稲妻の音は授業の進度を妨げ、しばしの静寂と遠くに響く轟に否応なく耳を傾かせた。

「傘で飛ぶ」課題の外で行う実験はことごとく中止となった。俺は放課後解放される結果となり、帰宅の途につくことができていた。それは俺にとっては安堵であるはずだった。鷹鷲に

「なぁ、ノブよ」

 とか言われて勧誘されても断る理由ができていたわけだし、室内でなにかできるわけでもなかった。それを見越していたのか、鷹鷲が俺をせっつくようなこともなかった。

 それなのに

「なんでこうもまぁ居心地が悪いんだろうな」

 足を止めた帰り道。見上げた空。どんよりした雨雲がそれに応えてくれるはずもなく、止むことのない雨がそんな言葉をかき消すように傘を打ち鳴らした。その傘をギュッと強く握りしめて、再び歩き出した。


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