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こんなことがありました。  作者: 金子よしふみ
第五章 始まってしまいました

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コーヒーショップで

「今日は何か参考になった?」

「ま、空中に飛んでいる感覚は、ってとこかな」

「そう」

 駅近くのビルのコーヒーショップに入っていた。バスが着いたとはいえ、まだ日が高かったので、俺からカナ姉を誘ったわけだった。

「しかし、この学校は変わってるよな」

「そうね。大変だったわね。三年間」

 その年月を言われて、俺は妙に心がざわついた。

「カナ姉は進学?」

「うん、こっちに出てきてるから、こっちの国立大学に行こうかなと」

「学部は」

「教育学部」

「キョウイク?」

「何、その意外そうな反応」

「いや、予想外というか、案の定というか」

「だからその反応が失礼じゃない? 別にいいけど。教員免許取って田舎に帰ろうと思ってね」

「向こうで仕事すんの?」

「そのつもり」

「模試の判定とかは?」

「ギリギリかな。夏休みは補習もあるし、頑張ろうかなと」

「そうか」

「うん」

 それ以上、カナ姉がその話をすることはなかった。前のカナ姉なら

「それで、伸大はどうするの、進路?」

 とか尋ねてきたとて、なんらおかしくはなかった。が、今のカナ姉はそれをしなかった。その代わりに

「伸大はどう? こっちの高校は」

「刺激的……てのは、こっちの方が都会だからかな。かと言って、俺は……」

「そう」

 その続きをカナ姉が何か言いかけた時、

「あら?」

 と言う声が近づいて来た。


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