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こんなことがありました。  作者: 金子よしふみ
第二章 新しい生活
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自己紹介とさっそくの授業

 二年五組。さくら教諭に促され、始業前の朝のショート・ホームルームで自己紹介をした。

 好奇の目というのは、まさにこういうものだろうという視線を全身隈なく浴びることになり、それを浴びながら、指示された座席に着いた。窓側最後方の席。この絶好のポジションが残されていたのは幸いであり、俺は好奇の目などにはそれ以上晒されたくはなかったし、何よりもささやかに高校生活を送りたかったのだ。しかし、しばらくの間は仕方あるまいということも承知していた。人の噂も七十五日というから。それに、俺だって目の前に珍獣がいたら、しばらくは眺めているだろうし。実際、さっき出会ったしな、教壇にいるその珍獣。

「そこはかとなく過ごせりゃいいな」

 多分俺の口はそんなふうに動いたろう。しかし、声に出ていたのか、俺は思いだすことができない。


 ホームルームに引き続いて、さくら教諭の授業が進んでいった。

 が、

(果たして、この教諭は大丈夫なのだろうか)

 開始十分での感想。教務室で御自身がおしゃっていた、

「大丈夫」

 という発言の根拠はどこにあったのだろうかと勘繰りたくもなった。というのも、解説を始めると息継ぎを忘れて話し続けた挙句、何度か酸素不足でフラフラするし、黒板に書き始めたら、ひたすら無言で描き続ける……行動が極端だった。

「熱意……ということにしておこうか」

 好座席の俺は、窓の外に浮かぶ霞んだ雲を眺めながらつぶやいた。


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