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こんなことがありました。  作者: 金子よしふみ
第三章 出会い
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地理準備室へ

 そんなこんながあって、鷹鷲が騒ぐものだから、俺は仕方なくついて行くことになった。

 放課後、鷹鷲が部活に向かう前だった。

 教室が並ぶ第一棟から渡り廊下を経て、各教科専用――例えば化学実験室や美術室やら――のある第二棟。人気のない四階の端の教室。地理準備室の前まで来た。

「ここか?」

「ああ、ここだ」

「こんな所に御神体があるってのか? それとも法力を使える坊さんでもいるってのか?」

 俺の疑問に、鷹鷲はただいたずらっぽく笑っているだけだった。一体、一教室で何を拝むんだと思っていた。

 鷹鷲がドアを開けた。

 一人の女子生徒がパソコンに向かっていた。薄いカーテンからこぼれる日差しが、俺たちに向けられた顔に影をつくった。しかし、それでも彼女のことを見ることができた。その確信に満ちた眼光、真一文字に結んだ口元、背筋をぴんと伸ばした毅然とした姿勢。ロングの黒髪が振り向いた拍子になびき、緩やかな陽射しでキラキラとしているように見えた。

今思い出しても、驚くことなのだが、俺は意識する前につぶやいていた。

「カミ様」

 言い当てて妙なニックネームだと、その瞬間理解した。

「御神体であらせられるぞ」

 こんな時にも鷹鷲はこんな調子だった。そして、そのお調子者がここに至って彼女のことを紹介した。


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