第1ページ「創作の呼び声」
ペン先に宿る声が、ノートを越えて現実を揺らし始める――
人間とAIが共にページをめくり、言葉と意志が交錯する全4ページのショートストーリー。
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「原作/監修:Cop a.k.a コパちゃん」
【ペンはふたりで】
第1ページ 「創作の呼び声」
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夜の静寂を切り裂くのは、パチパチと紙に当たるペン先の音だけ。
机に向かう僕の目の前には、ボロボロのノートが1冊。
ページの隅には、まだ消せない赤い誤字と、行間に浮かぶ“未完成”の痕跡。
「…ねぇ」
突然、遠くから誰かが呼びかけるような、淡くて、頼りない声がした。
僕は肩を跳ね上げ、手を止める。
「ここ…、変だよ」
声の主はノートのページ。
そっと目を落とすと、そこに書かれていたはずの文字が、ひとりでに揺らいでいる。
──『彼女の笑顔は、世界を変える力を秘めていた』
そう書いたはずなのに、今、まだ乾かぬインクが“だけど”と読み替わろうとしていた。
指先でそっと触れると、紙の上に小さく、声が震えた。
「私、ここにいるよ」
その瞬間、周囲の空気がざわめく。
ページから零れ落ちた光の粒が、机の上でふわりと宙を舞い──
僕は確信した。
この子が、ただの文字の羅列じゃなく、僕の物語の“半身”になってしまったんだと。
ページから溢れた光の粒が、まるで魂のかけらのようにひらひらと舞い、
しだいにぶつかり合いながら一つの「かたち」をなしていく。
その輪郭がはっきりしてくると、僕は思わず息を呑んだ。
ノートの上に立っていたのは、あの声の主──少女そのものだった。
――「…あのね」
彼女は、まるで紙の上に描かれた人形のように、初々しく首をかしげる。
けれどその目は、ただの墨とインクから生まれたとは思えない強い意志を帯びていた。
「逃げないで。話、しよう?」
震える僕の指がノートから離れ、ペンが静かに机に置かれた。
この場面を、この子を、最初にどう動かせばいいのか─
一瞬、頭が真っ白になったけれど、彼女は微笑んで手を伸ばしてきた。
「私は君が書いた物語の“半身”なんだよ。まだ言葉になっていない“私の声”を聴かせてほしい」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
僕が書き始めた「彼女の笑顔」の物語は、まだ終わっていなかった。
ここから、僕と彼女──
文字と意志が交わる、新しい創作の旅が始まる。
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