新天地
彼等は流浪の民だった。
長い年月苦しい旅を続けている。
肥沃な土地を見つけてもそこには先住民がおり、彼等は迫害され追い散らされた。
先住民のいない土地を見つけても、荒れ果てた不毛の地で永住する事は望めない。
流浪の民達は見知らぬ土地で夜空を見上げ、「何時か新天地を見つける事が出来ますように」と祈り、願う。
流浪の旅に出てからどれほどの年月が流れただろうか?
彼等の前に未開の大地が広がっていた。
先住の知的生物が存在せず、巨大な生物が闊歩し弱肉強食している未開の青い惑星。
流浪の民達は巨大な生物を駆逐して、思い思いの場所に散りそこに根付いた。
流浪の民が新天地に到達してから6500万年の歳月が流れる。
彼等の子孫は苦しい流浪の旅の事など忘却し、先祖がようやく辿り着いた青い惑星地球を汚し互いに争う。
そして先祖が母なる星から流浪の旅に出る事になった轍を、彼等の子孫は踏もうとしていた。