表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ


ここはどこだろう? 男は考えていた。もうずっと長く、ここで眠っていた気がする。目覚めてから一体、どれくらいたっただろうか。なにもわからない。分かるのはぎりぎりとした嫌な音が近づいてきていることだけだ。

「考えても仕方がない。もう一回寝よ。」

男はひとりつぶやき、再び目を閉じた。





三人の男がひび割れた土の上を歩いていた。じりじりと地上の水分を奪うように太陽の熱が三人の皮膚も焦がしていた。「早く帰ってご飯が食べたいね。」「どうせ今日も飯なんてないさ。一昨日あいつらに食い荒らされたんだぜ。もう忘れたのか?」近くを歩く男が呆れた顔をしてそう返した。


はるか昔、この世界は何十億という人間が暮らしていて、海とかいう塩水の上に大陸とかいう陸地があって、そのうえでみんな暮らしていたらしい。

しかし、年月が過ぎるにつれて、海は干上がり、ほとんどの生物が生きていけないほどの太陽の熱や放射線が地球を襲うようになった。いまやこの世界は水なんておろか、木も草もない。

原因は二つ。人間たちの勝手な生活によって自然を破壊しつくしたこと。そして、近年急激に太陽が膨張し始め、もうすぐ地球と太陽がぶつかってしまうくらいの距離になってしまったことである。おかげさまで、外に出るときは分厚い防護具を着ないと生きられない世界になってしまった。

まあ、こうなる前に先祖の方々が、シェルターを作ってくれたから今、生きながらえているわけだけど、それももう100年位前の話で、その時代の人たちはみんな死んでしまった。

そして100年前、人々がシェルターに入って数年してから、突然正体不明の凶暴なロボットが地球を侵略し始めた。そいつらは4足歩行をしていて、生きているものを見ると息の根を止めるまで攻撃し続ける残虐なロボットだ。

こいつらをみんなキラーと呼んで恐れており、世界の人口のほとんどがこいつらに殺されて、今や僕たちがいるシェルターしか残っていないといわれている。そしてついに先日、僕たちのシェルターも襲撃され、700人いた仲間のうち生き残ったのは300人程度。食料もすべて奪われて壊滅状態となってしまった。ロボットのくせして知能が高く、食事までするらしい。

そんなこんなで食料を求めて、外の世界に出てきたわけだが、食料なんてあるはずもない。僕なんて一番弱くてすぐにキラーに殺されてしまいそうなのに、襲撃の時なぜか生き残ってしまった。夢中で剣を振り回してたら気が付いたら戦いが終わっていて、生き残ってしまった。何度も言うが、生き残ってしまったのだ。生き残ってしまったがゆえにとにかく暑いキラーしかいない外の世界にありもしない食料を探して来いと放り出されてしまったのだ。

このひどい任務を一緒に遂行しているのは、ソーガという、対キラー部隊の隊長ニュートと、ソーガ1級のコニーだ。この二人はシェルター内でもトップ2といわれるくらい強いから、ぼくは何もしなくても多分大丈夫だと思うけど、怖いものは怖い。

「おい!トーマス!おいていかれたいのか?」ニュートが叫ぶ。

「そんなわけないさ。なんだか今日は嫌な感じがすると思ってさ。」

そういってトーマスは指をさす。「ほ、ほら。やつらがいるよ。獲物を狙ってる。」

「おいおい、その獲物ってまさか俺たちのことじゃー」「違うよ、こっちを向いてない。僕たちじゃない何かを狙ってるみたいだ。」

「おい!あれはなんだ?丸くてでかいやつ・・」ニュートが再び叫ぶ。ただひび割れた地面だけが続く荒廃した土地をえぐるようにしてそれはたたずんでいる。直径でいうと2メートルくらいあるその球体は人が二人くらい入れそうなくらい大きい。「なんか入ってるのかな。もしかして空から降ってきたのかな。」「お前ってほんと緩い頭してるよな。空から降ってくるわけないだろ。」そう言ってコニーはトーマスを鼻で笑った。

「ねえ、あの球体動いてるよ・・。みてよ!中に人がいる!!」トーマスは怯えながら指をさした。その刹那、ニュートは背負っていた大剣を固く握りしめ、走りだした。


  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ