洞窟の戦闘3
互角に剣を打ち合っていたレミアとリリアーナ。
しかし徐々にレミアがリリアーナを押していく。
「クッ……!」
「甘い」
一瞬のスキを突き、レミアが一太刀を入れた。
魔力を纏ったその剣は、リリアーナの着けていた鎧を弾け飛ばす。
「クッ、何故……」
フラフラ後退するリリアーナが、レミアを見る。
「不思議?何故聖剣の力を借りられる自分が何の魔法も使っていない、魔力だけの私の剣に押されるのか……理由は二つね」
と、レミアは加速しリリアーナに剣を振り下ろす。
リリアーナはその一撃を受け止め、二人はそのまま再び打ち合いになった。
レミアが口を開く。
「理由その一。聖剣の力は確かに強力だけれどあなたはその力をほんの少ししか引き出せていない」
「黙れ……!」
レミアの剣撃に押されるリリアーナ。
「そして理由そのニ。まあこれが一番の理由ね。単純にーー私の方が強いからよ!」
そう言い、レミアがリリアーナの持つ聖剣を弾け飛ばした。
「クッ……」
膝を着くリリアーナに、レミアが剣を突きつける。
「もう一度言うわ。王都で行われている連続殺人事件の犯人は私じゃない。帰ったらもう一度ちゃんと捜査しなさい」
レミアがそう言った、次の瞬間、
「ーー誰に剣を向けている」
「!」
リリアーナの影から突如一人の黒ずくめの人間が飛び出しレミアを斬りつけた。
突然の出来事に、レミアはなんとか反応したが右腕を斬られてしまった。
そしてその一撃で持っていた剣を離してしまう。
「ーークッ……」
黒ずくめがそのままレミアにもう一度斬りかかった瞬間、
「レミア!!」
ケイがレミアと黒ずくめの間に入り、レミアを庇い、そして斬られた。
「あ……」
一瞬で意識が消えかけるケイ。
それを見たレミアが悲痛の声を上げる。
「ケイ!!」
ケイを抱え、レミアはリリアーナや騎士たちから距離をとった。
そしてケイに呼びかける。
「ケイ!しっかりして、ケイ!」
「………」
しかし、ケイからの反応はない。
「どうして、どうして私を庇ったの……私なんかを……」
必死に声をかけるレミアに、ケイは今度は反応した。
「ーー……どうしてって、そんなの決まってるだろ……レミアが……好きだからだよ」
そう、たとえ会って間もないとしても、一目惚れだったとしても、ケイはレミアが好きだった。だから、
「好きな女の子を守るなんて、当たり前だろ」
そう、笑った。
「あ…ああ………」
ケイのくらった一撃は明らかに重たい。
放っておけば命に関わる。
レミアの頭を不安が支配する。
ーーまた、このままじゃまた、私を好きだと言ってくれた人が死んでしまう……!
揺らいだ不安は魔力になってレミアの体から溢れ出す。
強く強く強い、レミア本人でさえ抑えきれない魔力が。
「アアアアアアアアアア!!」
レミアの悲痛な叫び声とともに、レミアの魔力は辺りを破壊していった。