オウカ・タチカワ3
色が真紅に変わるほど超一点集中させた魔力を、対象に当てると同時に炸裂させる『緋花』。
シンプルで強力な技。しかしこの技を使う者は少ない。
理由として、魔力の超一点集中。これが難しい。
気を抜けばすぐに魔力が発散してしまううえに、一点集中させた箇所以外が無防備になる。
そして、当てるタイミングと炸裂させるタイミングがうまく噛み合わなければ、真の威力は発揮されない。
しかしケイは見事に『緋花』を決めた。
炸裂後にケイの周りを、散る花びらのように紅い魔力が舞う。
ケイの『緋花』は、初めて使ったとは思えないほど強力だった。
『緋花』を受けたオウカが派手に宙を飛んで行く。
しかしケイは違和感を覚えていた。
ーー今の手応えはーー……
宙を飛ぶオウカが空中で体勢を変え、着地する。
その身体は、無傷。
「危なかったぞ……本当に危なかった。身体に当たっていればな」
オウカは真顔で、刀の、その鞘を見せる。
鞘には大きなヒビが入っていた。
「刀に魔力を纏わせて『緋花』を防いだのか……!」
「そうだ……フフ、本当に危なかった」
危なかったと言いつつ、オウカは嬉しそうに笑う。
一方、ケイは、
「防がれたならーー何回でも何十回でも叩き込んでやるよ……!」
再びケイが拳に魔力を集めようとした時、
「悪いがお前の攻撃はもう当たらん」
オウカが左脚を引き両手を前に出す構えを見せた。
「『飛刃』」
オウカが唱えた次の瞬間、
「グッ!?」
ーー斬撃……!?どこから……
ケイの身体に、無数の切り傷が奔った。
ケイが怯んだ一瞬に、オウカは距離を詰め、両手で魔力を込めた掌底打ちを繰り出した。
「『双撃掌』」
ケイが派手に吹き飛んでいく。
「終わりーー……」
勝負アリと思ったオウカ。しかし、ケイは立ち上がっていた。
「!!」
ーー傷がない……!!
「治癒魔法……そうか、通りで頑丈なはずだ……なら、治す間もなく斬る」
「!!」
オウカが魔法を使おうとしているのを見て、ケイは魔眼を使おうとした。しかし、一歩早く、
「刹那、鮮血、無常の刃、『飛刃』」
詠唱で威力を上げた見えない斬撃、『飛刃』が飛ぶ。
もうすぐ斬撃が当たる。そんな時、
ーー引き寄せるんじゃない。オレが飛ぶんだ!!
魔眼を発動させたケイ。その能力は、今までの引き寄せの『呼瞬』ではなく、
「何……!?」
ケイは紅の魔眼のもう一つの能力、自らが視線の先に飛ぶ『飛瞬』を使いオウカの真横に飛んだ。
そしてそこから繰り出されるのはーー……
「『緋花』」
繰り出された『緋花』。それは確実にオウカの横っ腹を捉えた。
「ぐぁっ!」




