洞窟の戦闘
ケイがレミアの後を追ってすぐ、レミアの後姿が見えた。
ーーうん。後ろから見る輝く銀髪、綺麗だ。
「レミーー……」
後ろ姿に見惚れつつケイは声をかけようとして、やめた。
何故ならレミアの前に、大勢の人間が居たからだ。
格好からして、騎士か何かだと思う。
一斉にレミアを襲うというのならすぐに飛び出すが、そんな感じでもなし、今ケイが飛び出せばコトがややこしくなるかもしれない。
「………………」
ーーここは一応、警戒しつつ待機することにしよう。
ケイはいつでも飛び出せる所まで忍び寄り、岩陰に身を潜めた。
そして耳を澄ます。
すると、レミアが鬱陶しそうに口を開いた。
「またあなたなのね、王女騎士、リリアーナ・アルストロメリア」
レミアが冷たく言い放つ先には、騎士たちの中で唯一頭に甲冑をしていない少女が居た。
金髪碧眼、レミアにも引けを取らないぐらいに美しく、レミアやケイと同じ歳ぐらいの少女。
少女、リリアーナはレミアに吠える。
「当然だろう!貴様を逃しはしないぞ!白銀の魔女、レミア!」
リリアーナがレミアに剣を向ける。
「我が国の民を無作為に殺す逆賊が!お前は今!ここで私が討つ!」
その言葉に、レミアはため息を吐く、
「だからその事件の犯人は私じゃないと言っているでしょう、無実の私を追い回すより真犯人を見つけなさいよ」
「戯言を!現場付近からは毎回血に塗れたお前の目撃証言がある!」
「犯人が私に似ているだけでしょう。それか魔法で私の姿に見せているか」
ーー誰かが私を陥れるために。
「ーー……お前は魔女だ。魔女の言葉などーー誰が信じるか!行くぞお前たち!」
レミアの話を聞かず、リリアーナたちがレミアに突っ込んだ。
「待て!!」
それを見たケイが岩陰から飛び出しレミアの前に立つ。
「ケイ!?何故ここに!?」
「心配だからに決まってるだろ!ちょっとは時間を稼ぐ、だからお前は逃げろ!」
ケイの言葉に、レミアは小さく笑った。
「……ありがとう。ケイ。心配してくれて」
ケイに優しく微笑んで、レミアは目の前の敵を見る。
「でも大丈夫。こんな相手に遅れはとらないから」
そう言い、レミアが右手を騎士たちに向ける。すると、
「え?」
ズン、という音とともに、騎士たちは地面に這いつくばってしまった。
レミアの重力魔法によって。
「これでも私、強いのよ」
一歩も動かず敵を制圧するレミア。
ーーすげぇ。これも魔法か……
レミアは可憐でいて、そして強かった。