深夜の森の攻防11
「すごい魔力量だね……まだ跳ね上がるなんて……」
「リビィエラ……どうしてお前がこんなことを……」
瞳を揺らし、身体を震わせながら、ケイは切実に問う。
「……答える気はないよ……私には必要なことなの……でも、ケイは殺したくない。だから退いて……」
「断る」
「なら…!ネイ・ルーゲラーも見逃してあげるから、退いてよ」
ーー私は君と戦いたくない。
「断る!」
「……!どうして……!」
「お前はまだ、まだ魔力を集めるために人を殺す気だろう……オレはこれ以上お前に人を殺させない……そして、罪を償わせる」
ケイの言葉を聞いた瞬間、リビィエラの表情が変わった。
それはケイが初めて見る、怒りの表情。
「罪を償う……私が……?どうして……!!」
リビィエラからーー真紅の魔力が跳ね上がる。
「どうして私が!あんな奴らのために!!」
そして凄まじい加速を見せ、一気にケイの懐に飛び込み、リビィエラの拳がケイの顔を貫いた。
「くはッ!」
痛烈な一撃ーー……ケイが吹き飛ぶ。
「ッ……」
なんとか立ち上がり、体勢を立て直そうとするケイ、しかしリビィエラは加速し、前から横から後ろから、ケイに打撃を加えていく。
「ぐぁ…!」
ケイはリビィエラのスピードに、まるでついていけない。
反撃はおろか、掴むことすらできない。
ただただ、リビィエラにいいように殴られた。
「何もッ!何も知らないくせに!!勝手なことを言うなぁ!!」
最後に、リビィエラが『緋花』を使い、ケイの胴体を撃ち抜いた。
「ぐふッ!!」
『緋花』。拳に集めた魔力を、相手にぶつけると同時に炸裂させる単純な技。
単純ーーそれ故に威力は高く、そして修練し、何度も何度もこの技を放つリビィエラの『緋花』は、練度が高い。
ありったけの魔力と怒りのこもった『緋花』を受けたケイは、大木へその身を打ちつけた。
「う…クハッ…!」
大量の血を吐くケイ。
「ハァ…ハァ……」
息を切らし、リビィエラは、
「や…やだ……ケイ、私、そんなつもりじゃ……」
自らが吹き飛ばしたケイを見てうろたえるリビィエラ。
ヨロヨロと、リビィエラがケイに近付く。
「ケイーー……」
「何も…何も知らないのは、確かにそうだ…でも……」
「!」
確実に意識を刈り取ったと、否、殺してしまったかと思ったケイが、大木に身体を預けながら立ち上がる。
「ケイ……」
その瞳は霞んでいて、身体はボロボロで赤く染まり、治癒魔法も使えていない。
それでも、ケイはリビィエラに話しかける。
「でも!それでもオレはお前にこんなことをしていてほしくない!!だから、力づくでもーー……お前を無力化して、そばにいさせる!!」
「ッ…!!」
リビィエラは揺れた。
ケイのその言葉に、そしてさっきまで霞んでいたいたのに、光を宿したその瞳に。
「……私は変わらない。目的を達成する、そのために!!」
「変えてやるよ」
笑うケイ。
「これ以上は、本当に死ぬことになるよ」
「死なないさ、死ねないんだ、オレは……オレを、待っていてくれる人がいるから」
「その通りよ」
上空から声がして、リビィエラが上を見る。
そこには、
「絶対にあなたは死なさないわ、ケイ」
そこには冷たい眼でリビィエラを見下ろすレミアが居た。
「『白銀』……!」
「はじめまして、偽者さん」




