深夜の森の攻防5
ーー速い……!
襲い来る凶刃、ネイはそれを右腕を差し出し、止めた。
「痛ぅ……」
右腕を刺されながらも、『紫電』を使い、ネイが仮面の女に左腕を振るう。
しかしその拳は仮面の女に簡単に躱されてしまう。
「ハァ…ハァ……フフ。まさかまだ上のスピードがあるとは……驚きです」
ーーその上右腕は、使いものにならなくなりましたね……
自身の不利。それを承知しながらも、ネイは笑う。そして、
「しかし私はネイ・ルーゲラー、守護三家が一角、当主として、あなたのような逆賊に負けることなど、断じて許さない!!」
そして己を鼓舞し、魔力を溢れさせた。
再び『紫電』を纏い、ネイは辺りの木から木へ、そのスピードを活かし、跳び回る。
木と木の感覚は狭く、そのスピードを見切ることは、常人には至難の業ーーしかし。
「うっ……」
仮面の女がネイを一瞥した瞬間ーーまたもネイの動きが止まる。
それはほんの一瞬のこと。
しかし仮面の女はその一瞬を見逃さず、加速し、ネイに飛び蹴りを放つ。
「うぁ…!」
それを喰らったネイが空中から地上に落ちる。
仮面の女はゆっくり、ネイに歩み寄った。
「あら……ずいぶん…ゆっくりしてらっしゃいますね……いけませんよ、油断は」
血が滴る口元で笑いーーネイは詠唱を口にする。
「『紫電』、『龍撃』」
魔法の呪文、その詠唱。それは魔法の効果を、通常時より引き上げる。
「!」
「『雷爪』」
ネイが左腕を振るうと、斬撃のように雷撃が飛び、その一撃が仮面の女の右腕を切り裂いた。
「……!!」
「お返しです」
ネイのその一撃により、仮面の女が、『略奪剣』を放し、遠くへ飛んだ。
「さて……第二ラウンドといきましょうか」
手傷は負わせても、未だネイは不利。
しかしそれでも、ネイ・ルーゲラーは不敵に笑った。




