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魔女の恋人  作者: さくら あきと
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ネイ・ルーゲラー


 突如現れた少女。


 その少女はイバと同じく紫色の髪をし、そしてイバとは違い、瞳も紫色だった。


 透き通るように輝く紫色の瞳をケイに向け、少女は言う。


「話をーーですがその前に傷を……これを飲んでください」


 そう言い、少女が懐からポーションを取り出した。


 少女はケイにそれを渡そうとした、しかし。


「必要ない」


 脇腹から刀身を抜いたケイが、傷口を少女に見せる。


「傷が……」


「オレの唯一使える魔法でね……そう、オレの傷なんてのはすぐ治る……でもな、この子の負った傷は違う」


 鋭い視線を少女とイバに向けるケイ。


「この子の負った心の傷は、オレにも治せない」


 すると少女はスッと頭を下げた。


「姉が大変に失礼しました……謝って許されることではありませんが、守護三家が一角、ルーゲラー家当主として、このネイ・ルーゲラーが深く謝罪致します」


 そう謝罪するネイと名乗る少女。


「ネイ!何で謝罪なんか……こいつはあの『白銀』なのよ……?そしてその男はその『白銀』を庇った逆賊!始末して当然でしょ!?」


「お姉様。今夜行われた王国防衛会議で、この王都で行われた一連の殺人犯の容疑者からレミアを外すことが決まりました。お姉様は知らなかったから攻撃してしまったことについては何も言いません……が、あまり失礼な態度をとらないでください」


「!?な、何で……」


「リリアーナ王女の意見です」


「あの王女……でもネイ、どうせ犯人はーー……」


「お姉様……王族に意見に逆らうおつもりですか……?それに私もこの件はリリアーナ王女に賛成です。誰もレミアさんの顔を見たわけじゃない」


 キッとイバを睨み付けるネイ。


「う…あ…」


 たじろぐイバ。


 そんなイバを無視し、ケイがネイに問う。


「アンタ、ルーゲラー……そこの当主だと言ったな」


「はい。若輩ながら務めさせていただいています」


「この間、ゲウ・ルーゲラーと名乗る男が、魔女の子孫だという理由で往来で女の子を突き飛ばしていた」


「……!ゲウお兄様が……」


「……そっちの女は女でこの子に心ない言葉でを投げて傷付けた……本当にロクなモンじゃないんだな、ルーゲラーとかいうのは」


 ケイの言葉に、イバが吠える。


「何ですって!アンタ、私たち誇りあるルーゲラーをーー……!」


「お姉様!!」


 激昂するイバを、ネイが抑える。


「ッ……」


「姉と兄が重ね重ね本当に申し訳ありません」


 ネイが、膝を着き頭を下げた。


「……!ネイ!!」


 妹の姿にイバが狼狽える。


 ケイはそんなネイに背を向けた。


「もういい……ただし、今度オレの恋人と友達を傷付けるようなことがあれば、容赦はしない」


 紅く光る瞳で、ケイはネイとイバを睨み付けた。


 ーーアレがお姉様を苦戦させた魔眼……いえ、そんなことより、


「あの、今回、そしてお友達の件は本当に申し訳なく思っています。なので、謝罪になるなんて思っていませんが、何か困りごとがあれば私たちの家に来てください。守護三家の一角として、何かお役に立てるかもしれませんので」


「………………」


 最後のネイの言葉には何も答えず、ケイはレミアを抱え宿に帰って行った。

 








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