イバ・ルーゲラー
「イバ・ルーゲラー……!!」
「アハッ。まったくリリアーナ王女にも困ったものね〜〜手柄をあげるためにせっかく痛めつけて洞窟に追い込んであげたのに、まさかそこから取り逃すなんて……ま、所詮は王族の騎士ごっこよね〜〜」
「……イバ・ルーゲラー。私は無実よ。だから事件について聞き込みをしているの」
真っ直ぐに、レミアはイバを見つめる。
「ふ〜ん……誰が信じるのよ、魔女の言葉なんて」
そんな言葉と抜いた剣とともに、イバがレミアに突っ込んで来る。
「ルーゲラー!!」
レミアは手を前に出して重力魔法を発動。イバをその場に釘付けにした。しかしーー
「アハッ!『アンチマジックフィールド』!!」
イバは『アンチマジックフィールド』を発動し、レミアの重力魔法を打ち消した。
「クッ……」
「忘れたの〜〜?私には『アンチマジックフィールド』がある。遠距離魔法は無意味よ!!」
距離を取るレミアに対し、イバはまるで届かない距離にも関わらず剣を振るった。
するとその剣は伸び、鞭のようにしなり、曲がってレミアを襲う。しかし。
その剣はレミアの作った重力の壁により落ち、地面に突き刺さる。
「チッ!やっぱり厄介ね〜〜アンタの重力魔法。今のはただの物理攻撃じゃなく、剣に魔力を乗っけたのに、それでも届かないなんて〜〜」
「『閃剣』!」
レミアは異空間から剣を数振り召喚。それを魔力を使い高速でイバ向かい打ち出した。
「アハッ!」
『閃剣』はかなりのスピードと威力。しかしそれを、イバは縮めた剣で弾き飛ばした。
「厄介はこっちのセリフよ……!」
「アハッ……じゃあーー近距離戦といきましょうか!!」
猛スピードで突っ込んでくるイバに対し、レミアも剣を一振り召喚。斬り合いになった。
しかしその闘いは、イバが押している。
ーー流石アルストロメリア流剣術上段者。強い……!
「アハッ!どうした〜〜?こんなもん??」
イバの強烈な一撃が、レミアを捉える。
「クッ……」
足が止まったレミア。
ーーマズイ!!
レミアは一旦イバから距離を取るため走った。
「逃げるの!?アハッ!惨めね〜〜!!」
イバは逃すまいと再び剣を伸ばし、レミアに攻撃する。
「……それは通じない」
さっきと同じ攻撃。
レミアもまた先程と同じように重力の壁で剣を防ごうとする。
イバは笑った。
「バァ〜カ。同じじゃないわよ」
重力によって落ちるハズの剣。
しかしその剣は、重力の壁を破り、レミアの身体を貫いた。
「……え?」
レミアが倒れ込む。
「な…んで……」
「アハハハハ!!秘密を教えてあげる。タネは『アンチマジックフィールド』よ」
『アンチマジックフィールド』。練り上げた濃い自身の魔力を周囲に放出し、相手が放った遠距離魔法を打ち消す反魔の力。
膨大な魔力と、それを周囲に広げる技量が要る高度な魔法。
故に使い手は少ない。
「今の攻撃はね〜〜『アンチマジックフィールド』の力を、伸ばした剣の切先に纏わせたのよ。だからアンタの重力の壁を貫けたってわけ」
「そんな……マネが……」
「できるのよね〜〜なんたって私、ルーゲラーだから」
もはや動けないレミア。
しかしそのレミアに対し、イバは何故か追撃に行かない。
「なぁ〜んかガッカリだわ〜〜魔女って言ってもこんなもの?まぁ、アンタは『六翼印』も使いこなせないみたいだし?魔女って言っても出来損ないよね」
「………」
少しずつ距離を縮めるイバ。
「しかし魔女ってのもカワイソーよね。『六翼印』なんてのが発現しただけで魔女、魔女って恐れられて、近しい人達からも逃げられる」
「………」
「こそこそ真犯人探しとやらをして無実とやらを晴らしたかった見たいだけど、所詮アンタなんて、見向きもされず、誰にも愛されずにーー孤独に死んでいくのよ」
「違う」
ゲラゲラ笑うイバに、レミアは小さく声を絞り出した。
「は?」
「私にも、私にだって、愛してくれる人が、愛してる人はいる!!」
「……ムカツク顔ね……そんな奴ーーいやしないのよ!!」
「いるさ」
レミアに振り下ろされる凶刃。しかしレミアはそこにいなかった。
「!?」
イバは反射的に知らない声のする方を向く。
するとそこに、ケイとレミアの姿。
ーー何でレミアがあそこに……一瞬で移動……転移魔法?
突然現れたケイと、今の能力を警戒するイバ。
一方ケイは、
「よくもレミアを……絶対許さない」
レミアを傷付けられた怒りに燃えた。




