それぞれの思い
「……もうこんな時間か……」
暗くなった空を、ケイが見つめる。
「もう帰る?」
その言葉に、ケイは頷く。
「ありがとうリヴィエラ。修行に付き合ってくれて」
「ううん。私も楽しかったから」
笑顔を見せるリヴィエラ。
「あ、でもごめん。せっかく風呂に入ったのに、また汗かかせちゃったな」
「それも大丈夫。また入るよ……ケイ、ちょっと目を閉じてジッとしてて」
「?分かった」
言われた通りにするケイに、リヴィエラがゆっくり近付く。
そして、ケイの額に自分の額をくっ付ける。
しばらくそうして、リヴィエラはゆっくりケイから離れた。
「リヴィエラ?」
「今のは強くなれるおまじない」
微笑んで、リヴィエラはそう言った。
「もっとも、ケイはもう十分強いと思うけど」
ケイも微笑んで、リヴィエラを見る。
「ありがとうリヴィエラ……じゃあまた」
「うん。またね」
こうして二人は別れ、ケイは帰路についた。
「あっ。リヴィエラにレミアの偽物のこと聞くの忘れた……まぁ次の機会にでいいか」
そう考え、ケイは宿まで急いだ。
その頃、リヴィエラはかいた汗を流すため、再び風呂に浸かっていた。
そしてケイのことを考える。
「ケイ……」
最近のリヴィエラの頭の中には、常にケイがいる。
「私ーー……ケイのこと好きになっちゃったのね……」
リヴィエラは浴槽から上がり、そして浴室に付けられた大きな鏡の前に出る。
「……ケイ。これからこの王都は、混乱する……でも大丈夫……あなただけは、死なさないから……」
そう零すリヴィエラ。
その右目は怪しく紅色に光っていた。
「ただいま」
宿に帰ったケイだが、そこにレミアの姿はなかった。
「レミア、今日も遅いのか……」
ベッドにダイブするケイ。
今日リヴィエラとの修行で疲れていたケイは、すぐに眠りそうになった。
しかしケイは気力で起き上がる。
「ダメだダメだ。レミアを待つ!」
しかしそこからどれだけ待っても、レミアは帰らない。
「レミア……」
嫌な予感がしたケイは、宿を飛び出した。
その頃、レミアは、
「今日もダメだったわ……」
情報収集のかいなく、トボトボ歩いていた。
「いけないわ。もうこんなに遅くなってしまったんだもの、早く返らないと」
そう、レミアが急いで帰ろうとした時、
「どこへ行くのぉ」
後ろからそんな声がして、レミアは振り返る。そこには、紫色の髪をした一人の女が立っていた。
「アンタは……イバ・ルーゲラー……!!」
女、イバ・ルーゲラーは笑う。
「アハッ。久しぶり〜〜……なぁんかコソコソ連続殺人事件について聞き回ってる人間がいるとかいうから調べてみたら……まさかアンタだったなんてね〜〜レミアちゃん。嬉しいわ。またアンタを斬れるなんて」
いやらしい笑みとともに、イバが腰の剣を抜いた。




