お願い
「……ありがとう。もう大丈夫。傷は完全に癒えたわ」
「あ、ああ」
もう大丈夫と言われたので、右手を離す。
すると、右手の輝きは消えた。
「わずか数十秒でこの回復……さすがね」
ふわり微笑む美少女。
笑うとさらに可愛い。
ーーやべぇ。結婚したい。
「さてーー……私にとってはこれからが本番ね。何処かから来た人、私の望みを叶えてくれた代わりに貴方の望みを叶えましょう……一体何がお望みかしら、この白銀の魔女、レミアができうる範囲で叶えてあげるわ」
「ふむ?」
つまり美少女はケイにお礼をしてくれるらしい。
「お礼……この美少女が、オレにお礼……」
ケイは意図せずレミアの頭のてっぺんから足元までをじっくり見る。
「いっ、言っておくけれどふしだらなお願いはなしよ、健全なお願いでなければ」
そう言って両手で胸を押さえ体を横向きにするレミア。
ーーダメか、ちぇ。
それは残念と思いつつ、話は簡単だった。
話的にケイをここに呼んだのは彼女なのだから、お願いして元の世界に帰してもらえばいい。
そう決め、ケイはレミアを見る。
目と目が合った。本当に可愛いと思うまさにケイが思い描くヒロインそのものだ。
ーーお付き合いしたい。是非!
「さ、お願いは何?」
訊くレミアにケイは言う。
「オレと付き合ってくれ!」
そう言ってケイは彼女に右手を差し出した。
ーーあれ……オレは何を……?
自分で言って、自分で混乱した。
「……はい」
しかしケイの告白に、レミアは呆気にとられながらも、右手を取った。
ーーえ?OKなの?