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少しでも
朝。ケイが目を覚ますと、部屋にレミアの姿はなかった。
代わりに机に一枚のメモ用紙。
『おはよう。ケイ。私は今日も用事があるから出かけるわ。ケイも今日はゆっくりしていて。でもクエストに行くのは禁止。机の上のお金は好きに使っていいから、良い子で待っていてね。今日は夕食を一緒に食べましょう』
まるで母親が子供に残すようなメモ。
「ーー子供か、オレは……」
ケイは小さく笑い、そのメモ用紙を丁寧に折り畳みポケットに入れた。
「さて、じゃあまた王都の散策にでも行くかな」
そう決め、ケイは宿を出た。
宿を出たケイは、朝からやっている食堂に入り、朝食を食べ、それから王都を気の向くまま歩いた。
「ホント、漫画やアニメで観たみたいな、街並み……中世って感じだな……」
ケイはレミアに召喚され現代日本から中世のような異世界へ来た。
魔法のある、魔物のいる、まさにお伽話のような世界へ。
正直、日本に未練はない。
レミアに出会えたことーー……それがケイに何よりの幸せだと、本当に思えるから。
しかし今の状況はよくない。
早くレミアの疑いを晴らさないとーー……
ーー情報がいるよなぁ……でもオレにそんなアテは……あっ。
「一人いるか」
少しでもレミアの力になるため、ケイは歩き出した。




